yuki kuroyanagiさん著の
現在はフォトグラファーとして活躍するyukiさんに出逢ったのは、ラモーンズのドキュメンタリー映画「TOO TOUGH TO DIE」の試写会に足を運んだときのこと。会場の入口で挨拶がてらちらっとお話したのみだったけど、なぜか初めて逢った感じがしなかった。昔からずっと語り合ってきたかのような気持ちになった。うまく説明できなけど、とても奥が深そうな、不思議な魅力のある方だな・・・というのが第一印象だった。そんなyukiさんによる待望の書き下ろしがこの「I LOVE RAMONES」である。
自称ロック人間のTommyではあるが、「ロック」と一言で言ってもその中にはごちゃごちゃと様々なジャンルがある。ここであえてはっきり言っておこう。私は一ロック・ファンとして主にUKロックの道を歩んできた。つまりパンクは通っていない。昔オフスプリングやグリーンデーをお茶濁し程度に聴いてきたぐらいである。もちろんラモーンズの存在自体はよく知っていたが、彼らの曲を聴いてきたかと言えば、答えは「ノー」。それでもロックを愛する者として、先に公開されたドキュメンタリーフィルム「End Of The Century」はビデオを借りてきて観ていたし、ラモーンズのマークや写真がプリントされたTシャツなどはオシャレの一部として楽しんだりはしていた。でも「ラモーンズ=元祖パンク・ロック。」それ以上の情報は取り込んでいないパンク初心者・・・
そんな私がこのyukiさんの245ページにも及ぶ本を読んで、
変わった。
結論から言うと・・・
タイトル通り「I Love Ramones!」になったのだ。
この本は、他にたくさん存在するようないわゆるラモーンズ伝記のようなものとは全く違う。そこには20年間ラモーンズを追いかけ、日本のファンクラブの会長を務めるyukiさんの主観がふんだんに盛り込まれている。彼女がどうしてラモーンズファンになったのか、インターネットもない時代・・・バンドの情報が少ない中、ファン同士で意を決しNYに向かう様子、ラモーンズ本人たちとの偶然の出会い、そしてギター:ジョニーとの100通以上に及ぶ文通・・・
時には友人であり、時には妹、ある時にはファンクラブ会長であり、またある時にはフォトグラファー・・・・この本の中にはホントに色んなyukiさんの顔があった。世界のパンク・ロックを代表するバンドとの様々な関わり合いを一緒に追体験しているかのような感覚に陥る。ドラマティック(劇的)でドラスティック(激的)なストーリー。
でも、たとえどんな立場でこのモンスターバンドと関わろうが、彼女の根底を流れている顔は同じ。
そう、「ファン」なのだ。
「ラモーンズを心から愛している」のだ!!
お互いの距離がどんなに縮まっても、彼女にとってラモーンズは
永遠のヒーローなんだと思う。
言葉にできない「LOVE&PASSION」がこの本から溢れ出てきた――。
これは少々余談だが・・・実は私自身、yukiさんのラモーンズに匹敵するぐらい特別な想いを寄せているアーティストがいる。今年はお仕事でそのアーティストと会うこともできた。中学生の頃の自分には信じられない出来事である。チャンスが来れば、私もyukiさんのようにそのアーティストに関わる仕事にどんどん携わっていきたいと思っている。でも、もし仮にそうなったとしても、「ファン」としての自分の気持ちはきっと永遠に変わることはないのだろう・・・なぁんて、時に自分の事と重ね合わせたりしながら、最後まで大事に読み終えたのだった。
貴重な写真もほんっとに盛りだくさんの
★★★★★★★★「I LOVE RAMONES」★★★★★★★★
ラモーンズ・ファンはもちろん、そうでない音楽ファンもぜひ一読して欲しい。ラモーンズ、引いてはパンクの奥深さを十二分に感じることができるはずだ。
「私はラモーンズのファンであることを
今でも誇りに思っている。」
―本書より抜粋
「I LOVE RAMONES」Photographs & Text by yuki kuroyanagi
http://books.yahoo.co.jp/book_detail/31954480