10/10待ちに待ったアルバムがついにリリースされた。
Stereophonics(ステレオフォニックス)
『Pull The Pin』
Tommyがこよなく愛するバンド、フォニックス
あれは遡ること約10年前・・・高校生の頃、Tommy少女はUKロックに目覚めたのだが、そのきっかけはまぎれもなくフォニックスだった。当時リリースされたばかりのアルバム「Performance and Cocktails」を毎日「もう、いいだろう!?」っていうくらい繰り返し聴き続けた。何かにとり付かれたように、ひたすら、である
ここでフォニックスについて簡単にレビューしておこう
Stereophonics
1981年に地元ウェールズで結成。ライブが評判を呼び、1996年、レーベル「V2」の第一号契約アーティストとなる。デビューアルバム「Word Gets Around」はUKチャート初登場6位を記録。2nd以降のアルバムは全てUKチャート初登場No.1を獲得。2ndと3rdアルバムはイギリスのバンドとしては異例の連続ミリオンセラーを達成。数々のアウォード、アリーナ・クラスでのライブなど、その地位を不動のものとする。
そんなイギリスを代表するバンド、フォニックスが今年デビュー10周年を迎えた
その節目の年に今回ご紹介する輝かしいニューアルバム『Pull The Pin』をドロップしたわけである。今作はリリースされる前の時点で既に注目されており、各メディアが口を揃えて言っていたのは以下の言葉。
「バンド史上の最高傑作」
聴けば聴くほど、その意味がわかってくる。「フォニックスの原点回帰」とも言える超ゴリゴリ・骨太ロック前作「Language Sex Violence Other?」が、多少時代の流れに乗ったようなエレクトリックサウンドで仕上げられていたからか、今作のギターとベースとドラムといったシンプルな生臭いロック音がより顕著に感じられる。「お帰り、フォニックス」思わず心の中でそう叫んでしまうくらい!!
そして今回Tommyが一番注目したのは・・・曲と曲のつながり。まるでひとつのミックスアルバムを聴いているかのように、ロックアルバムで未だかつてないほどグルーヴィーに一曲一曲が展開されていく。特に1.「soldiers make good targets」から「これぞ、UKロック!!」と言える最高にクールな2.「pass the buck」、そして先にロンドンで起こった地下鉄爆破テロにインスパイアされ「人生の虚無感」について歌われたしっとりバラード3.「it means nothing」へと続く運びには、身体の奥底からしびれたひとつひとつの楽曲に対する思い入れはもちろん、全体的な構成もおそらく念入りに練られたんだなと感じずにはいられない。
切ないバラードのあとに続くのは4.「bank holiday monday」。「ま、ま、そんな湿っぽくならず・・・」と若干重くなった空気を一蹴するかのような歯切れの良いナンバー。けだるい歌い方はオアシスをも彷彿とさせるが、このドライで軽快なサウンドは、やはりフォニックスならでは。
実は9月にプロモーションで来日した際、幸運にもインタビューすることができたずっとずっと聴き続け愛してやまないフォニックスのメンバーとの初のご対面ボーカルのケリー・ジョーンズ、ベースのリチャード・ジョーンズはとても真面目な印象。前作から新加入したドラムのアルゼンチン人ハヴィエ・ウェイラーは南米のノリで2人の若干かたい雰囲気を上手い具合に崩すムードメーカー。バンド内に非常に良いケミストリーが生まれているのを感じた。そんなメンバー3人が自信たっぷりにこう語ってくれたのである。
「今まで培ってきたものを全てこのアルバムに注ぎ込んでいる。10年間のベストアルバム的な意味合いもある、間違いなく最高傑作な仕上がりだよ。」
リリース前のメディア内に飛び交った噂は、本当だった。
シンプルよりも複雑に、不安定なビートよりも機械的に・・・そんなピコピコ音が溢れる現代のミュージック・シーンに、人間味溢れるバンドサウンドを蘇らせてくれたフォニックス。
祝10年祝・原点回帰
最近、新人バンドをレコメンドする際、「ポスト○○○!」とか「○○○の再来!」などといった表現がなされるが、「ポスト・フォニックス」なバンドは未だに聞いたことがない・・・ってことに気がついた。それほど、このバンド、One and Onlyなんだと思う。誰にも真似できない唯一無二の楽曲にぜひ酔いしれていただきたい。一曲目から飛ばさず、グルーヴィーな部分も合わせてご堪能あれ!!!