●今耳で"ウェザー・リポート"を聴いてみた-2-
結成早々、ウェザー・リポートの東京公演
フリーアプローチのジャズバンドだった1972年

梅雨が明けてて、急に暑さも倍増した気になりますねぇ~。夏風邪に気をつけましょう。
さてさて、録音順に聴くウェザー・リポートの第2回目は、デビューアルバムを出した後のライブ盤、しかも渋谷公会堂、東京公演のアルバム2枚組。
メンバーはジョー・ザヴィヌル(key)ウェイン・ショーター(sax)ミロスラフ・ヴィトウス(b, el-b)
エリック・グラヴァット(ds)ドン・ウム・ロマン(perc)
Shibuya Kokaido Hall, Tokyo, Japan, January 13, 1972
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Tommy's Jazz Caf'e ジャズブログ
Weather Report Live in Tokyo/(1972/Columbia/2×CD)

これは持っていないとウェザーファンと言ってはいけません!(笑)。デビュー作の『Weather Report』、2作目の『I Thing The Body Electric』を出す直前のライブ(この時点で2nd.アルバム『I Sing The Body Electric』のA面の収録は終わっています)。初期のウェザーはジャズフュージョンではありませんね。インプロヴィゼーションを前面に押し出した、フリーアプローチをコンセプトした明確なジャズユニット。
ドラマーのエリック・グラヴァットは、1st.アルバムのアルフォンス・ムーゾンよりもジャズなドラマー。迫力とスピード感ではアルフォンス・ムーゾン。繊細さ色合いでは、エリック・グラヴァットというところです。
エフェクター類も控えめ、ヴィトウスもエレベよりウッドベースを多めに弾いています。ジャズ好きが落ち着いて聴ける大人のライブ盤です。特に頑張っているのはショーター。ヴィトウスの弓弾きエフェクト付きコントラバスの音をザヴィヌルのシンセと勘違いしないように!まだシンセは使っていません。ザヴィヌルのエレピは、エフェクターを入れた歪み系ギターっぽい音色の使い方。アコースティック・ピアノは完全にフリージャズ。

'70年代"和フリージャズ"が好きなオイラとしては、ナットクのフリージャズグループ「ウェザー・リポート」。
今耳で聴くと、エレピ&エフェクターを導入している意外は、フリーインプロヴィゼーションがメインのバンドとしてやっているだけで、ジャズフュージョンとはいえない。これは王道のジャズでしょう!
また、最近の"現在進行形ジャズ"もこんなことをやっているんではないかな?もしそうだとすると、最近のサックス奏者で、当時のウェイン・ショーターの演奏よりも優っている人っているのかな?なんて、考えてしまう、傑作『Weather Report Live in Tokyo』です。どうですかね?いっきさん。
この時期(初期)のウェザー・リポートって、ライブ盤を聴くと印象が変わります。先日のDVD『Live in Hamburg 1971』も良かった。2nd.アルバムの『I Sing The Body Electric』B面にこのライブの一部を流用しています。'70年代に、リアルタイムでウェザー・リポートのアルバムを聴いていたオイラとしては、ライブ盤のウェザーはスゴク新鮮。なぜなら、ザヴィヌルよりもショーターの色合いが強いバンドに聴こえるから(笑)。
オイラ、輸入盤を867円+送料340円でゲットしました。

それにしても当時のウェザー・リポートが、ウェイン・ショーターの知名度だけのグループだったことが分かるアルバム。コンサート会場が渋谷公会堂だよ。それでも、ライブ録音を決行したソニーレコードの伊藤潔プロデューサーの英断に拍手!!「アンタだけだよ。当時WRのスゴサが分かっていたのは」と云いたい。本来は日本オリジナル企画制作のアルバムだったのですが。んで、煮詰まったザヴィヌルに音源を提供しまうことに(泣)。
1972年、初来日当時のウェザー・リポートの公演スケジュール
1月4~5日:東京 渋谷公会堂/1月6~7日:大阪 フェスティヴァルホール/
1月9日:東京 文京公会堂/1月11日:東京 神田共立講堂/1月12日:札幌 北海道厚生年金会館/
1月13日:東京 渋谷公会堂
*とても大物バンドの扱いとは思えないコンサート会場、特に東京公演。


●いっきさんのコメント
■単なるフリー・ジャズではありません。

ウェザーは単なるフリー・ジャズ・グループではありません(笑)。
基本は「ウィ・・オールウェイズ・ソロ・アンド・ネバー・ソロ」(我々はいつもソロをとっていて、我々はけっしてソロはとっていない)です。
児山紀芳さんは「ソロ/非ソロ」と訳してそうです。
「ソロ/非ソロ」「個性/非個性」のせめぎ合いがこのグループの初期理念です。
私は「作曲/非作曲」という言い方をしてもいいと思います。
その意味では現代進行形ジャズに同もじような面があります。
ただサウンドに対する意識は「ノイズ/音響」も取り込んだ現代とは異なるし、リズム感が全然異なります。


◎それは分かる。オーネットたちがやっている「フリージャズ」とは違うもんね。コルトレーンとも違う。
オイラはフリーフォームの集団アプローチくらいに思っているのだが、初期のウェザーは、ちょっと志しが高過ぎたのかも知れません(笑)。
オイラは好きですが、売れるとは思わない。この頃、チックが「サークル」を結成するように、フリーがジャズミュージシャンの中でブームだったのは否めません。んで、レコードセールスに結びつかないことを思い知るのですが・・・でも、アート・アンサンブル・オブ・シカゴっぽい感じはするけど。
現在進行形ジャズとの違いの「ノイズ/音響」は、ロフトジャズの時代にもあったので、大きな違いは「リズム感」ですね。何時の時代でも「リズム感が違う」は、新しい表現としては当然だと思います。