クラシックギターの音の魅力は、人間が演奏する音に感じる<不安定さ><不確かさ><脆(もろ)さ>にあると私は思う。

 

練習を重ねた安定した確実な演奏で奏でられる音は、無機質的で機械的で味気なく感じたりもする。

 

いや、【練習を重ねた安定した確実な演奏で奏でられる音】は、飽くまでその曲を演奏する<土台>に過ぎず、その土台の上に<情感>といった表情付けをする演奏家個々の表現力が求められるのだと考えている。

しかし“名演奏”として評価されているものの多くが<土台>レベルのものであるように感じる。難易度の高い曲を安定した確実な演奏で弾いているというだけで「名演奏」とされているように思う。私はそれ等を「つまらない演奏」と感じる。高難易度の曲を弾きこなしている演奏を聴いても全く感動しない。

 

逆に、難易度の低い練習曲を情感豊かに弾いている演奏に心を動かされることが多い。

また、安定した演奏よりも、不安定で不確かな演奏に心を動かされることが多いようである。

【情感豊かに演奏する】ということは、【<不安定さ>や<不確かさ>を感じる演奏】と表裏一体なのだと思われる。