要旨:ICTを活用して教育をアップグレードすべし。

・学習動画を活用すれば、長期の入院生活や不登校の子供たちへの学習機会の提供、人口減少で地域に専科教員や学習塾がなくなった子供たち、日本語が不自由な外国の子供たちに低コストで高品質な学習環境を提供できる。

・学習塾の市場規模は約1兆円。文科省の学習費調査では、塾代は公立中学は年間22.4万円、高校生は12.2万円と、家計の教育負担は塾代も大きい。塾に行かなくても受験を戦える学習環境を提供することが大事。

 

 

所感:

この問題は当局側の理解が進まないのですが、戦術変更で他の議員に啓発しています。

その後、文教委員会の参考人招致でリクルートさんに「スタディサプリ」の説明を聞き、

熊本・佐賀視察でもICT利用校やスタディサプリ採用の教育委員会を訪問しました。

その後、他党の議員から「前田さんのおかげで180°考え方が変わった!」との言葉も複数いただいたのでよかったです。

 

 

本文:

2年半前にも本会議で同内容の質問をしたが、議会のメンバーも変わったことだし、動画配信を活用した、新しい学習環境の整備について、改めて伺う。

時間・場所・費用・教師の指導力に依存しない教育動画の配信による学習環境の整備こそが、家計の教育費用軽減、長期の入院生活や不登校の子供たちへの学習機会の提供、人口減少で地域に専科教員や学習塾がなくなった子供たち、日本語が不自由な外国の子供たちに低コストで高品質な学習環境を提供する、そして公教育をアップグレードする唯一の方法だと確信している。

既にタブレット・電子黒板を導入したICT活用授業もあるが、それよりも放課後学習に動画配信を活用するほうがより効果的と考える。

兵庫県は地域未来塾とひょうごがんばりタイム事業による放課後の学習支援を行っているが、費用が掛かる割には効果が薄いと考える。なぜならば、国語・算数・社会という教科数の軸。小1から高3という学年の軸。偏差値という軸。この3つの軸に60万人の児童・生徒がおり、児童生徒の個々に対応した学習を提供するためには、予算・教える人材面などから限界があるからだ。

また、学習動画の配信は家計の大きな負担となっている学校外の学習費負担軽減にもつながる。学習塾全体の年間売上は9,000億円とも言われているが、塾に行かなくても学力を向上できる学習環境を整備することで、2割でも塾に行く生徒が少なくなるとすれば、この9,000億円のうち1,800億円をカットできる。更に、株式会社リクルートの調査では、大学新入生で塾や予備校に通わなかった人は65%。その理由は経済的事情が約半分。すなわち、学校外の学習費負担軽減はもちろん、そもそも負担できない世帯にも学習環境を提供する必要がある。既に動画配信は民間が先行しており、同社が運営するオンライン学習塾スタディサプリは月額980円で3,000講座を提供している。有料会員は25万人を突破し、700の高校で活用され、生徒側だけでなく教師側のニーズでつまずきポイントの可視化や生徒個別の学習管理にも活用されているようだ。本来であれば、このようなサービスは公教育で提供するべきで、文科省が先導して取り組みを行うべきだと考えるが、残念ながらその動きはいまだ見えない。

そこで、兵庫県として、様々な環境の子供たちに高品質な学習環境を提供し、そして教育費の負担軽減に向けて動画配信を活用した新しい学習環境の整備を行う事について、所見を伺う。