質問要旨:県民月1無料化しても施設損益はむしろ改善&多子世帯・低所得者など

様々な環境の方に芸術/文化に触れる機会を増やすことができる。

 

・県立施設の月1無償化の具体策として、県立美術館を例に実現可能性を説明。

・芸術/文化施設は基本的には入場料無料が国内外共通の認識。

・無料化策は

1.特定世代の優遇策を廃止

2.企業スポンサードの強化

3.プライマリーギャラリー開催

 

 

質問本文:

美術館も対象にした博物館法では、入館料等は徴収してはならないが、やむを得ない事情がある場合は対価を徴収してよいとしている。2009年に文科省の審議会で作成された「新しい時代の博物館制度の在り方」においても、入館料については同趣旨の内容だった。

理念として、基本は無料が当たり前なのだ。しかし、日本博物館協会の調査によると、常設展が有料の施設は約7割、そして兵庫県立美術館も有料である。財政状況や受益者負担を考えると、有料化は仕方ないのだろう。

 

しかし、芸術文化立県ひょうごを標榜する本県としては、知恵と工夫で県立美術館の月に1度の無料化に取り組んではどうかと提案したい。ただ、単純に無料化すべきだと主張しても、財源は?という話になるため、いくつか私からもアイディアを示したうえで、無料化の実現可能性についてお伺いする。

なお、県立美術館の常設展を例に挙げると、1日の観覧料収入はざっと2万円であるから、月に1度の無料化をしても年間では24万円程度である。

そのことを指摘した上で、対策を3つ述べる。

 

1つ目は、65歳以上の料金を一般料金に変更

先に述べたことに加えて、高齢化につれ、現行の料金体系では一般料金で入場する比率はどんどん低下し、減収トレンドが続いてしまう恐れも指摘したい。

 

2つ目は、企業スポンサードの強化。

ニューヨーク近代美術館、世界的にも有名なMOMAはアパレルのユニクロからスポンサードを受けて、毎週金曜日4時以降はユニクロナイトと称し、入館料無料で運営している。以前、私もニューヨークに行ったときに、金曜日を狙ってMOMAを訪れ、その恩恵にあずかった。

既に、県立美術館も寄贈や直接的な寄付を法人・個人を問わず受けている。これをもう少しブラッシュアップできないだろうか。

ユニクロナイトのような命名権に近いアプローチでも十分まかなうことは可能と考えるし、企業版ふるさと納税を活用すれば寄付単価が数千万円単位へ向上できるかもしれない。

 

3つ目は、プライマリーギャラリー展の開催。

ギャラリーは美術品を購入する画廊のようなもので、プライマリーギャラリーとは作家が作品を発表し、即売するギャラリーという意味である。

これには設営費がかかるため、売上が単純に増収になるわけではないが、常設展・特別展ともにこれまでの収蔵品・レンタル可能作品にとらわれない作品展示の多様化や集客力の向上にもつながる。

更には、アーティスト支援にもつながる。一般的なプライマリーギャラリーではアーティストとギャラリーの取り分は、折半が相場といわれている。商品売り上げのうち、アーティストの取り分を増やす、県立美術館という立派な建物で自身の作品を展示できるといったメリットを訴求することで、県立美術館を若手アーティストの聖地・登竜門にすることもできるかもしれない。また、学芸員の調査研究・収集保存に過度にとらわれないマーケットインの発想を涵養していくことにもつながっていく。

 

以上、3つの対策を申し上げたがこれにこだわっているわけではない。

1960年に採択されたユネスコ勧告でも、観覧料はできるだけ無料とすべきこと、常時無料でない場合は、1週間に1日相当は無料にすること、低所得者・大家族には観覧料を免除すべきことが謳われている。

どうすれば、全ての人に県民共有の財産である、芸術文化に触れていただく機会を作ることができるのかという観点から、芸術立県ひょうごの県立美術館の月に1度の無料化に向けた考えを伺う。