「要旨」

・花粉症は国民病。国民の3割は花粉症で罹患者は急拡大。

・花粉症は公害。医療費、集中力や生産性の低下を考慮しうると1兆円被害?

・森林整備を温暖化対策や減災など多面的価値だけでなく、花粉症というマイナス面にも

目を向けた予算配分を。

 

 

 

質問内容:

大気汚染や水質汚染対策は、既に行政で積極的に取り組まれているが、花粉症はどうだろうか。今回は、患者数の拡大と大きな経済損失を招く、花粉症の被害軽減に向けた取り組みについて伺う。

 

スギやヒノキの花粉が飛んできて花粉症になる。自然による被害だから仕方ないと思っている方も多いかもしれない。しかし、花粉症の大きな要因は、戦後の植林政策によるスギの大量植林とされ、公害といっても過言ではないのでしょうか。

 

2008年の全国疫学調査では既に国民の約3割が花粉症。1998年の調査では約2割であったものが、たった10年で患者数は1.5倍増と被害は急拡大している。

 花粉症はスギやヒノキ、ブタクサなどによって引き起こされるアレルギー疾患で、くしゃみ、鼻水、頭痛などといった症状が中心である。しかし、実は経済損失が非常に大きい問題でもある。

 2000年発表の科学技術庁の調査では、医療費や労働力低下といった経済損失は2,860億とされているが、調査後の患者の増加状況等を加味すると、この調査を元とした私の試算では、今では8,500億超の損失が想定できる。

更に第一生命研究所の調査では、花粉により外出が控えられることで、個人消費が約4,000億円の減少。様々な機関の調査でも集中力や生産性が2割~3割近く減少する報告もされており、たかが花粉症とは言えない状況だ。

 

 国は、本年5月閣議決定の森林・林業基本計画において、スギ人工林等の利用を進めるとともに、花粉症対策苗木の生産や植栽、広葉樹の導入などで、花粉の少ない森林への転換を図る方針を示している。

花粉発生源対策の予算は2015年度の約1億2,000万円から2016年度は約4億円と大幅に増額されており、政府においてもようやく対策を本格化させる見込みである。

 

 地方自治体でも、鳥取県は2008年に10か年計画である「スギ花粉症発生源対策推進プラン」を策定したほか、中国地方知事会でも花粉症対策に広域連携で取り組む動きも見られる。とはいえ、対象となる森林は広大で民有林もあり、更には都道府県域をまたぐため、一朝一夕にできる対策ではなく、数十年という時間軸で考えていく必要がある。

 

そこで、まず兵庫県における花粉症被害に対する認識、次に、本県においても2008年度にスギ花粉発生源対策推進プランを策定しているが、その進捗状況と効果について伺う。あわせて今後、少花粉スギの植栽などの花粉症対策を推進していく上で、課題は何か、また財源上の問題があるということであれば、例えば県民緑税の改正による検討も考えられるが、当局の所見を伺う。