要旨:上位1%では量的インパクトないが、一の第一歩として取り組みたい。

・成績優秀者上位1%65名に年間50万円程度の授業料免除を実現すべき。

・目的は、教育投資の強化+県立大学の競争力強化+兵庫に優秀な人材を集める

・予算は3300万円。企業スポンサーや予算組み替え(僻地医師派遣では1人4000万円超の授業料免除を実施中)で可能。

 

 

子育て・教育への予算を厚くしていく流れができつつある。

みなさんご存じなので、その意義や細かいことはここで申し上げることはしない。

大学の学費でいうと、既に県立大学でも昨年度約9%の学生が受けている授業料減免がある。更に国の給付型奨学金も来年度から計画されているが、それでもまだまだ足りないと考える。

日本学生支援機構の調査によると、下宿生の場合、授業料以外でかかるお金は月約10.5万円。授業料を無償化しても、相当苦しい学生がいることは事実だ。現に中途退学した人の理由の1位は「経済的理由」。ここで今回提案したいのは、国の動向を見守ることではなく、今、県が実行できること。

その1つは、兵庫県立大学の成績優秀者トップ1%に授業料相当の奨学金給付を実施することである。給付型奨学金には基本的な2つの考え方がある。1つ目は、学業等が優秀な人に提供するメリットベース。2つ目は、経済困窮者に提供するニーズベースである。

本提案にはこれに加えて、3つ目の優秀な人材を兵庫に集める地域創生ベース、さらに、県立大学の競争力を高めるという4つの意思を込めている。

実はこの奨学金の創設に、必要な金額は3,300万円弱である。

これは兵庫県立大学の学生数6,500名で上位1%は65名程度、これに授業料約50万円をかけた概算値であるが、やる気と工夫で何とかなる数字。外から集める、予算配分を組み替えることで捻出できるレベルではないだろうか。

既に、県立大学は約1億円の寄付金を原資に学生飛躍基金を創設し、各学部・学年成績最優秀の20名程度に25万円の奨学金を給付している。しかし、恒久制度ではない上、20名・25万円ではインパクトが不十分と考えます。

インパクトがなければ、全国の高校生・保護者に認知してもらうのは困難であり、認知されなければ存在しないと同じである。また、優秀な人材を全国から集めるという意義も薄れ、「所得に関わらず進学できる!」という希望を持ってもらうこともできない。

私大は既に多様な給付型奨学金を整備しており、例えば、早稲田大学は校友会や個人からの寄付とその運用益を原資に、100種類の学内奨学金による年間20数億円規模の給付型奨学金を創設。著名私大はどの大学も、数百名規模を対象に、1人あたり年間50万円程度の給付型奨学金を創設しています。学生の経済面への支援はもちろん、いかに優秀な人材を呼び込むかに腐心している。

私大に比べて遅れを取っていた公立大学も、岩手県立大学はIT企業スターティアをスポンサーにするなど、徐々に取り組みが進んできている。

そこで、兵庫県立大学においても、特色のあるエッジの効いた学部・学科再編はもちろん、他の公立・有力私大に負けない給付型奨学金の創設をしなければ、大学として埋没してしまうのではないかと懸念しています。

2つめの提案は、住居面の支援。先ほど述べた日本学生支援機構の調査では、下宿生が授業料以外でかかるお金約10.5万円のうち、その3分の1の約3.7万円が住居・光熱費用となっている。そのような状況の中では、例えば児童養護施設・里親出身者はどうしているのだろうか。そこで私が主張したいのは、生活に困る中でも、努力してトップ1%という優秀な成績を修めている学生には、県営住宅やさらには市町とも連携した空き公営住宅の提供を行うことを検討すべきということだ。公営住宅には、住宅に困窮する低額所得者に対し低廉な家賃で住宅を供給するという基本的な使命があることは承知している。しかし例えば、明舞団地では地域再生法の認定を受け、学生シェアハウス事業が展開されている。このスキームなども活用しながら、優秀な学生に住居を提供すれば、学生の生活支援はもちろん、公営住宅の効果的運用、地域に若者を呼び込む活性化にもつながると考える。

この2つの実現によって、学生に希望を、兵庫に人材を呼び込むことができれば素晴らしいと思うが、県立大学の成績優秀者に対する優遇措置の実施について所見を伺う。