「質問要旨」
ICTを活用することで、防災や農林水産、医療・福祉、教育、産業や地域の活性化など、多様な場面で更なる効率性や新しいサービス提供が可能となる。
従来の県のICT政策はブロードバンドなどのインフラ整備が主な目的であり、これからは、それをどう活用していくかの戦略策定が必要で、
新しいICT戦略の策定が必要である。


「井戸知事の回答要旨」
平成26年度に新たなICT戦略を策定する方向で検討
※H26年度予算案で、ひょうごICT戦略推進本部の設置が決定


「前田コメント」
今回の前田ともきの質疑で、兵庫県の新しいICT戦略の策定と推進本部の設置が決定しました。ICT活用の社会的な要請が高まっていたという要因はありますが、兵庫県の対応が遅れていたことは事実で、2元代表制の一翼として提言型質問がうまく機能した例だと思います。



                     質問本文



「ICTの活用」
ICTの進化は我々の生活を変え、ビジネスを変え、自治体の政策にも大きな影響を与えます。ICTは、あらゆる領域で県民サービスの向上や行政効率化に活用できる万能ツールといえます。
マイナンバー制度や自治体クラウドもコストカットやBCPに寄与することでしょう。
 ICTの活用例では、東京ゲートブリッジが各種センサーにより、ひずみや伸び縮みなどをモニタリングし、1秒で2,800個のデータ測定を行い、インフラの保守・管理に活用しています。
佐賀県では全救急車にタブレットを配備し、救急隊員が受入可能な病院の検索を瞬時に行い、患者のたらいまわし防止や搬送時間の短縮に努めています。
和歌山ではセンサーで気温や降水量、土壌温度などのデータを収集し、果樹試験場の遠隔アドバイスと適時適作業の徹底で、高糖度のブランドみかん比率を24%から53%に倍増させるなど、熟練者の経験に依存した生産ではなく、数値に基づいた生産管理で生産性向上や新規就農者支援につなげる取り組みもなされています。

「日本のICT戦略の動向」
 日本はICTの活用について遅れている状況です。
世界経済フォーラムはICTに関する政策やビジネス環境、インフラなどを基にランキングしています。平成17年に8位だった日本は、25年には21位と大きく出遅れています。
 昨年6月成立の世界最先端IT国家創造宣言では今後、5年で世界最高水準のIT利活用社会を実現する目標設定がされました。ひょうご情報交流戦略は平成21年度で終了しました。しかし、県行政や県民サービスの向上に向けたICTの活用に終わりはありません。


「質問」
県のICTの重要性に対する認識と新たな戦略策定の必要性について所見を伺います。




「井戸知事回答」
新たなICT戦略の策定についてのお尋ねがありました。
 ICT通信情報技術は、今や特殊な技術ではなくなっています。社会のあらゆる場面で、人々の生活と密接に関係する普遍的な技術へと発展を遂げてきました。暮らしをより便利に、より安全・安心にする手段――ツールであるとともに、地域の元気を創出する重要な手段――ツールでもあると考えられます。

 人口減少や少子化、高齢化への対応、地域経済の再生、地震・風水害への備えなど、本県が取り組むべき課題の解決に向けて、積極的にその活用を図っていく必要があります。
 県としては、既にICT戦略に沿って、これまでもサンパルビルを拠点として、ITクリエイティブビレッジ事業による新規産業化を進めてきましたし、新事業創出支援貸付などにより、IT産業の活性化を支援してきました。また、情報ハイウェイの整備や高速ブロードバンドの県内100%普及達成など、情報インフラ基盤を完成させてきています。これらの基盤を生かして、産業立地が進むことも期待しています。

 昨年の秋からは、多自然地域におけるIT関連事務所開設を支援する制度を作りました。丹波に1号の進出も決まっております。今後も、各種の施策における利活用を積極的に進めてまいります。

 国は、昨年、「世界最先端IT国家創造宣言」を決定して、オープンデータの活用の推進だとか、社会保障・税番号制度の導入など、国と地方公共団体が協調してICTの利活用の一層の促進に取り組む姿勢を明瞭に打ち出しています。

 今後、このような国の動向を踏まえまして、ICTを取り巻く技術革新の流れやICTに関連したサービスの進化なども考慮しながら、この平成26年度に新たなICT戦略を策定する方向で検討していきたい、このように考えております。そして、ICTの活用をにらみまして、その戦略の中でICTをどのように活用していくことが望ましいのかも整理をしていきたい、このように考えております。




東灘区選出 兵庫県議会議員 前田ともき