「要旨」
健康寿命の延伸は県民サービス向上と同時に財政改善策でもある。
延伸にはメタボ・ロコモ・認知症対策が重要で、そのためには定期的な運動が必要。
運動実施率の向上は、スポーツやフィットネスクラブなどの触媒を通すことで、楽しく・継続的に・高負荷な運動が可能となる。
そのため、民間を中心としたスポーツ・フィットネスクラブの誘致策が必要である。


「健康寿命の重要性」
健康寿命の延伸は私のテーマです。
なぜなら、老々介護や認認介護の抑制、介護保険料高騰による家計負担の抑制、何より人生を健康に過ごせるQOL向上など県民サービスの向上と同時に、介護費・医療費の抑制による財政改善でもあるのです。
現状でも介護・医療費の県費負担は年間約1,580億円、
今後も年間約100億円ずつ増加する見込み
であり、その抑制は喫緊の課題です。
私は、これまでも都道府県で健康寿命1位をめざし、ロコモ対策の早期実行、運動環境整備のための学校施設の開放推進など求めてきました。今回は民間スポーツ施設やフィットネスクラブ等の誘致・増加施策について提言致します。

「健康寿命の延伸には運動が重要」
 なぜ健康寿命の延伸のために、スポーツやフィットネスか?
健康寿命の延伸には、認知症、ロコモ、メタボの3つの対策が重要で、そのためには定期的な運動が必要です。
しかし、METs数やカロリー消費量を考慮すると、体操や散歩などの現在主軸の運動では不十分です。よく言われる1日1万歩は、約300キロカロリーの消費に過ぎず、更にその実現も兵庫県は、平成23年度に全国1位の歩数だったようですが、1万歩には届かない。ここにいらっしゃる皆さんも大半は1万歩は厳しい。
しかし、毎日ゴルフならこの中にもできる人多いんじゃないですか。ハーフラウンドで約600キロカロリー消費。また、若者にはフットサルなんてどうでしょう?1時間で約460キロカロリーの消費、メタボ・ロコモ対策に有効な筋肉量の向上も期待できます。きつい運動負荷、長時間運動もスポーツという触媒を通すことで、継続的に、楽しく、カロリー消費ができる、スポーツの素晴らしさはここにあります。

「運動習慣の定着には運動環境の整備が必要」
そして、周囲に・安価で・多様な運動スポーツ施設が必要です。
県のアンケート調査でも、スポーツ振興のために県や市町に求める事業のトップはスポーツ環境の整備です。
また、フィットネスクラブなども重要です。意外にも利用者は60歳以上が約3割と最も多く、その比率は増加傾向にあります。平成4年に厚労省は生活習慣病などに治療効果がある運動療法を、フィットネスなど『指定運動療法施設』で運動した場合に、医療費の控除対象とするなど、自治体や国保・健保と連携した介護予防や健康づくりプログラムの提供、コミュニティづくりなど、多様な役割を担いつつあります。
また、2つの健保のレセプトと運動データを分析し、フィットネスクラブの利用回数が多いほど、医療費の伸び率が大幅に抑制された報告も、日本成人病学会でされています。



「スポーツ・運動環境の整備に向けた民間施設の誘致策を」
既に、県では全国1位を誇るスポーツクラブ21や勤労者健康づくり運動施設など環境の整備を行っております。しかし、健康寿命の延伸には、運動環境の質的・量的・多様的・充実を図るためにも、新しい整備が重要だと考えます。
そこで、税制、助成金、融資補助、都市計画や建築基準法上の緩和・優遇などの誘致・増加制度を創設すべきと考えますが当局の所見を伺います




「井戸知事の答弁」
民間のスポーツ・フィットネスクラブ等の誘致・増加策についてのお尋ねです。
 きのうで、ソチの冬季オリンピック大会が終了しました。海外大会では、日本として最高の8個のメダルを獲得したのでありますが、このような優秀なスポーツ選手を生み出すためにも、スポーツの広がり、裾野の広がりが必要だと、よく指摘されております。
 県としましては、兵庫県スポーツ推進計画に基づき、県民が手軽にスポーツに親しめる環境の整備を進めています。市町や県の都市公園所管部局と連携したスポーツ施設を整備してみたり、あるいは、これらは陸上競技だとか専門の施設が中心になります。学校体育施設を開放したり、全小学校区へのスポーツクラブ21を設置しました。これは、全国的にも非常に珍しい試みだったと考えています。現在も、ほとんどが地域におけるスポーツクラブとして盛んに活動展開していただいております。
 さらに加えて、商工会等と連携して商店街の空き店舗等を利用した運動施設や機器の整備などの促進にも取り組んできました。
 また、兵庫県におけるフィットネスクラブを含むトレーニング場の設置数は、官民合わせて128施設になっています。全国順位は第6位と、比較的高い設置数ではないかと考えます。
 しかし、一方で、フィットネスクラブでは、シニア層がスポーツ志向や健康志向の高まりから利用者数の拡大をリードしてきていますが、30歳以下の会員比率が低下していると言われています。そのため、施設を増やすことより、これらの施設が積極的に活用されるよう利用機運を高めるなどの意識啓発の強化が、まずは重要ではないかと考えられますので、例えば、健康づくりチャレンジ企業における運動教室の開催、あるいは健康運動指導士などの派遣を行っていきたいと考えています。また、スポーツクラブ21ひょうごの活性化なども重要です。このように、子供から働く世代も含めた全世代のスポーツへの参加促進を図っていきたいと考えます。
 さらに、新たに働き盛りの世代の健康づくりを支援するため、健康づくりチャレンジ企業での運動施設・機器の整備の促進を図ること、フィットネスクラブやスポーツ用品メーカーと連携したスポーツトレーナーの派遣を行うこと、生涯スポーツの世界的祭典でありますワールドマスターズゲームズ2021の関西での開催を見据えた26年度から関西マスターズスポーツフェスティバルを開催してまいりますが、このように生涯スポーツの普及を促進していくことなどにも留意をしていきたいと考えています。
 今後とも、健康づくりの観点からも、健康部局とスポーツ部局との連携も図りながら、一人一人が健康で生き生きと暮らせる社会、「スポーツ立県ひょうご」の実現をめざしてまいります。特に、個々人が自分の体力づくりにふさわしい体を動かすということに、これからも意を用いていただくことを呼びかけていきたい、このように考えています。