「要旨」
神戸医療産業都市をアジアの一大メディカルクラスターにするためには、単なる企業や研究機関の集積ではなく、医薬品開発の工程が一気通貫でできる体制整備が必要。

 その中で、兵庫県に一番足りないものは治験の包括的な支援体制だ。特に、5か年計画でも指摘されている症例集積性向上のための治験ネットワーク化が必要。

更に、橋渡し研究支援拠点や日本主導型グローバル臨床研究拠点は神戸市内の先端医療振興財団が取得したが、「早期・探索的臨床試験拠点」・「臨床研究中核病院」の指定も視野に入れるべき。そこにはメディカルクラスターというと産業労働部的な観点も入ってくるので、そのための予算措置は部局連携で取り組んでほしい。



「質問」

我が国では、ドラッグ・ラグやデバイス・ラグが他国に比べて長くなっており、PMDAなど審査体制がボトルネックとされていたが、大幅な体制強化やPMDAwest設置により、残るボトルネックは治験体制の未整備。
スクリーニングはスパコン京による前臨床段階の化合物設計や合成評価の効率化、
IPS細胞による世界初の臨床研究、薬事戦略相談連携センターは審査承認と工程を強化する機能が集まってきた。


国では、その充実・強化を図ることを目的として、「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」を2012年3月に発表されました。そこでは、早期・探索的な段階の臨床研究・治験の実施体制の整備、医師主導治験や臨床研究に対する更なる支援についても、その必要性が指摘されています。

また、県立病院においても、病院構造改革推進方策の中で、県立病院の医療水準を向上するため、各種の臨床研究を推進するとともに、医薬品等の安全性を高めるとともに、医療の質の向上を図るため、臨床治験を推進することを基本方向としていますが、人口あたりの大学病院や国立病院が全国的にみても少ない本県においては県立病院の役割はより一層高い状況です。


更に、治験拠点医療機関の指定を受けているがんセンターを拠点病院として、神戸医療産業都市との連携や「早期・探索的臨床試験拠点」・「臨床研究中核病院」の指定も視野に入れながら、県立病院が主軸として、ぜひとも積極的に臨床治験に取組んでいただきたいと思っています。
そこで、これまでの県立病院における治験及び臨床研究の実績について、今後の臨床治験の取組みの見通しとともにお伺いします。