ふるさと納税の抜本的改革増収策については、新しい制度を提言した。


今回は既存のふるさと納税制度、従来からその強化に関する提言は委員会等でなされている。
ふるさと納税の意義は素晴らしい。井戸知事もふるさと兵庫を県政推進6つの約束の1つとして掲げ、4期目再選を果たした。意義は素晴らしい、税制上も非常に有利だ。しかし、うまくいっていない。
制度の創設から5年。今年9月に総務省が行った「ふるさと納税に関する調査」では、都道府県と市町村を加えた寄付金総額は、初年度の77億円から毎年微増を続け、平成23年度は震災の影響で138億円と大幅に増加したが、翌年度は96億円までに落ち込んだ。
そこで、以下4点について伺いたい。

(1)ふるさと納税のこれまでと改善について 
「ふるさとひょうご寄附金」について、過去5年の寄附金の推移、「ふるさとひょうご応援サイト」の過去5年のページビューの推移とこれまでふるさと納税制度について、どのような改善がされてきたのか伺いたい。


ふるさと納税制度の意義は、納税者が自由意思で納税対象を選択やふるさと意識の醸成、自治意識の醸成にある。この、金額の推移だけを見て、兵庫県民はふるさと意識がないのか?自由に税の使い道を選択したくないのか?それは違う。一番の問題点は事業推進の方法論。
これまで同様に、ふるさと納税の活性化を!とざっくり唱えても、県人会がー・リーフレットがー、県産品がーと来るので今回は、この制度をどうすれば拡大できるのか。



(2)クラウドファンディングの活用について

まず、資金調達の仕組みを抜本的に改善しなければならない。ふるさとひょうご応援サイトや啓発リーフレットでは、全国に散らばる兵庫県民や趣旨に賛同する人々にリーチできない。コストも高額になる。そこで、クラウドファンディングを提言したい。
 これは、インターネットを通じて、個人やNPO、ベンチャー企業が個人投資家から小口の資金を調達するもので、世界の資金調達金額は、平成21年、5億ドルから23年、51億ドルと5年で10倍の急成長を遂げている。さきの日本再興戦略においても、資金調達の多様化でクラウドファンディングが記載され、法整備に向けて議論が始まっている。
 この仕組みは行政の寄付募集と一番親和性が高いと考える。1個人・1NPO・1企業ではどうしても詐欺リスクがある。これまで、証券取引法で個人向けに広く企業の資金調達を制限してきた理由でもある。しかし、行政ではどうか?その詐欺リスクは低く、個人も安心して寄付ができる。
そこで、ふるさと納税にクラウドファンディングを主軸とするべきと考えるが、当局の考えについて伺いたい。



(3)個別プロジェクトごとの寄附について 
本県のふるさと納税は現在、寄付者に対して寄付金額の使途を特段に限定せずに募集している。これでは、絶対集まらない。ふるさと意識を持つ人は兵庫県へではなく、自分の生まれ育った市町村に寄付をするだろう。そこで、大事なのは県が行う意義あるプロジェクトに賛同する人に訴えること。兵庫県はピッコロ劇団1.8億円など多様な意義ある事業を実施しているが、厳しい財政においては継続断念となる可能性もある。名古屋市営東山動物園ではクラウドファンディングでコアラ保存の資金調達を行い、1週間で目標の3倍300万円、最終的には約470万円を調達した。
ふるさと意識だけに訴えるのではなく、「兵庫県の鳥コウノトリを守ろう」や「鎮魂の思いをつないでいこうルミナリエ」「ハバたん全米進出計画」とか各プロジェクトの趣旨・意義に賛同する人々を全国から集めるよう、事業ごとにふるさと納税の寄付先を選定できるように変更すべきと考えるが、当局の所見を伺いたい。



(4)各部局の自主財源として 
 財政の自由度が狭まる中で、新規事業や意欲的な事業を実行することがなかなか難しい現状にある。職員の皆さんのモチベーションは給与削減や超過労働によってのみ下がるのではなく、県民のため、政策実現を行いたい。しかし、予算がなく、仕事はルーティング中心。というところにもモチベーション低下が出てくるように思う。
予算節約インセンティブ制度がある。長く続く行革で金額的にはほぼ機能していない状況だと思うが、各部局の既存事業をふるさと納税の対象にして、寄付金額の何割、つまり資金調達分の何割かは、新規事業の予算として認めるといったインセンティブ制度は考えられないか、この点について、当局の考えを伺いたい。



新規事業もクラウドファンディングで集めた金額の一定割合を県が新規事業予算として追加。
県民局向けに地域の夢推進事業がありますが、各部局がある意味民意で各プロジェクトごとに資金を集める、いわばみんなの夢推進事業だ。
ふるさと納税制度が始まった5年。期待されたほどの結果は出てない。
しかし、非常に強力な減税制度であり、クラウドファンディングで低コストで広報できる環境ができた。このふるさと納税制度による歳入を、現状の10百万円という単位ではなく、数十億円という規模感まで5年で成長できるように期待したい。