
(今日はいつもと違う口語体だわ)
家族で行く時はスーパー銭湯が多いが、一人の時は町の銭湯に限る。
風呂に入ると、この時間は爺どもばっかりだ。
とろとろ、よろよろ、正直邪魔くさくてしょうがねぇ。
まあまあ、自分もいつかは歩む道よ、なんてこたぁ、
そんなものがいるとは思わないが、清く正しい政治家に言われようが、
牛乳瓶の底メガネをかけた先生に言われようが、
まぁ~ったく思わねぇ。邪魔なものは邪魔だ。
が、いつもそうだが、今日も湯船につかってから、ふと考えた。
この爺、どう見てもこぐ父より年上だ。へたすりゃ90近いかもしれねぇ。
確か今年は昭和88年。
ってこたぁ、この爺、戦場にいたのか、銃後に勤めていたのかはわからねぇが、
昭和20年8月15日っていう日も働いていたのは間違いねぇんだ。
こりゃ、ちょっと考えにゃなるめぇ。
この爺どもが働いたから、こぐ父どもが飯を食えた。
こぐ父どもが戦場に行かずに大人になれたから、こぐも生まれたってことになる。
とすりゃ、夢おろそかにはできめぇ。
ちょっとばかり、よろぼい痩せさらばえてようが、国の礎になったのもこの爺どもだからな。
子供や孫が、まるで一人で育ったようにえらそうなことを抜かそうが、
せっかく守った国の借金がだるまのように膨らもうが、
なにも文句をいわねぇで、あっつい風呂につかるのを楽しみにしてる、
そんな爺どもに、なんでこぐが文句を言えようかぃ。
それにしても、熱すぎる・・・
「こらっ、小僧!動くんじゃねぇ!男はな、風呂には、じぃ~~っとへえるもんだ!」
す、すみません!m( __ __ )m