
田んぼも畑もないような町だけど、それでも公園には木があったし、
自転車で30分も走れば、ちょっとした林もあったからね。
カブトムシやクワガタは、スーパーで買うものだと思ってたけど、
それでも、木に集まるという知識はあったんで、何度か取りに行ってみたけど、
スズメバチがいるくらいだったな。
木の上に、秘密基地を作ったこともあった。
ベニヤ板をロープで引き上げて、椅子とか持ち込んでね。
あれ落ちてたら、大けがしてたはずだから、今考えると無鉄砲だったんだな。
まあ、子供ってそんなもんかもしれないけどさ。
隣の小学校の子と、なわばり争いなんかもあって、
子供なりに壮絶な戦いもしたんだけど、ばれると親に怒られるから、
けがしても、隠してたりしたこともあったな。
今の子は、あまり木に登れないんだね。
登っていい木がないのかな?あっちもこっちも勝手に立ち入ってはいけませんとか、
ここで遊んではいけません、とか書いてあるもんね。
もっとも、昔も書いてあって、それを無視してただけだったのかもしれないけどな。
木の上から見る風景は、いつもと違ってたんだよね。
遠い日のことだな。