
昔は三権を持っていたので、ピストルも持ってたらしい。
今はそれほどじゃないにしても、船の全責任を預かっているんだからえらい人なのだ。
悪いことにもいろいろあるけど、多いのは食料費などのネコババなんかだな。
悪いことやってる人は、やっぱり話してるとわかる。
やけに低姿勢だったりとかだ。
もちろん本社から来た、自分たちを監督する立場の人間に対して、
ある程度丁重になるのは理解できるけれど、卑屈に感じるような態度をとる人がいる。
そのくせ乗組員にはものすごく威張ったり。
こぐは本社の人間だけど、現職として船長をしたことはないので、
こぐの来歴を知ってる船長たちは、丁重でありつつも威厳を持って話してくることが多い。
そういう人は、乗組員にも好かれてるし、船内もきっちりしてる。
英語で船長のことをCAPTAINっていうんだけど、これは肩書きのことだ。
海軍でいうとCAPTAINは大尉だったかな?
メールや、文書を船長に送るとき、こぐたちは、MASTERという言葉を使う。
MASTER of M/V NIPPON MARU(汽船 日本丸の船長様)みたいな感じで。
MASTERには、船長という肩書きだけではなく、本船の主人という意味がこめられてる。
そして彼らも、自分は、この船の主だという意識を持って、毎日業務をしている。
悪いことを考え付く船長たちは、CAPTAINかもしれないけど、真のMASTERにはなりえない。
省みて、どこかの国の総理大臣、肩書きは総理大臣だけど、
この国の主である、自分はMASTERだ、という意識を持って仕事してくれてるんだろうか?
CAPTAINが、真のMASTERである、というのは乗組員にとって切実な問題で、
PRIME MINISTERがMASTERであるかどうか、っていうのも、同じだと思うんだけど。