HとY(五十音順・敬称略)という名の二人。
高校一年生の時に同じクラスになった。途中でクラスはバラバラになりながらも三年間同じ時を過ごした。色々と問題があってもその都度乗り越えてきた。
卒業後の進路もバラバラになった。Hは自分の好きな事に関わる仕事をするという夢を叶える為に専門学校へ進学し、Yと富蔵は別々の大学へと進学した。
進学しても休みの日に会って成人してからは(!)お酒を飲みにも出掛けた。
夜中まで居酒屋で飲んでは富蔵の実家の駐車場に停めてある車の中で音楽を聴きながら寝て朝になると解散するという今では考えられないような事もしていた。
共通の趣味が有ったから続いていたんだと思う。それは音楽鑑賞。好きな音楽のジャンルが一緒だった。ライブハウスにも行ったし今好きで聴いている曲を収録したMDを二枚ずつ作って交換したり詩を書いたものを交換していた。色々なアーティストを知る事が出来たしMDを聴きながら相手の生活を想像したりしていた。
やがてHは千葉で就職した。レンタカーを借りてYと一人暮らしをするH宅へ何度か行ったし富蔵はHが退職するにあたって引っ越す際に手伝いにも行った。成田山にも行ったなぁ。
Yと富蔵は引き続き大学生活を続けていた。Yは新卒で某電器店へと就職し、富蔵は結果として当時抱いていた夢をあと一歩という所で叶えられずフリーターを続けざるを得なかった。
それからも回数は減ってしまいながらも飲みに行ったしYが働く某大型電器店は富蔵の実家から歩いていける距離にあり何度も行った。
そんな耀かしい日々は富蔵にとっての青春時代だったと振り返った時に思う。
今はとてつもなく近いはずの二人がとてつもなく遠い。それぞれの生活があるから仕方がないのだが無性に会いたくなる時がある。
富蔵の黒色の分厚いファイルには交換したMDのセットリストや詩のコピーや高速道路の領収書などが満載。いつまでもセピア色に変わらない思い出が詰まった証拠物。
Hも地元に帰ってきてるし、Yも近くにいるわけだから、その気になればいつでも会えるはず!友情の糸は決して見えずとも繋がっているはず!そう信じていたい!
久し振りに近況報告を兼ねて連絡をとってみたいと思う。
会えるのはすぐなのか?まだまだなのか?はたまたもう会えないのか?
また、会える日まで…。
BGM:JILS「LOVER'S NAME」「Innocent Cry」
