【映画評】ルックバック アニメでなくアニメーション、見せていただきました。
ルックバックでございます。アマプラで視聴。こういう映画館で上映するには短い、シリーズ物でもない作品は、昔はOVAなんて形で展開されたりしましたが、今時は配信ですねえ。
小学4年の藤野は、学級通信に4コママンガを連載しており、自身でもマンガが上手いと自負していたが、隣のクラスで不登校の京本が、自分より絵が上手いと知りショックを受ける。
それからはひたすら絵を練習する日々。勉強もせず友達とも遊ばず姉にも心配される。
しかし小6の途中で、京本には勝てないと知り、ぱったりと絵を止め、そのまま卒業を迎える。
卒業式の日、藤野は先生から、京本に卒業証書を届ける様頼まれる。
初めて出会った京本に「藤野先生!」と呼ばれ、自身が京本に尊敬されていると知る。
二人ははコンビでマンガを描くこととなり、高校卒業と同時にデビューの運びとなるが、京本は美大に行きたいとの思いを募らせ、二人に別れの時がやってくる。
引きこもりの京本が藤野に手を引かれ、外に遊びに出る。藤野の手が京本の手をしっかりと握って引っ張る。京本の笑顔。でも握った手がアップになる度に、やがてこの手が離れてしまうんではないかと、観る側に不安が募る。案の定、徐々に藤野から心が離れていく様が、表情の変化や、アニメーションならではのデフォルメで示されていく。これは切ない!
京本に尊敬していると言われ、家に帰る藤野のテンションが徐々に上がっていく。丸めた背中がまっすぐになり、歩きが小走りになりスキップになり、動きが大きくなっていく。水たまりの水が跳ねる。アニメーション!
ストーリーはやがて切ないものになっていくが、最後にフィクションならではの、マンガっぽい、アニメっぽい救いがある。実写でやれば「そんなバカな」と言われかねない展開も、マンガならアリかなと思わせる。その絶妙なバランスも上手い。
1時間ほどなのでサクッと観られますが、すごい充実感。これは良いものを見せていただきました。必見!