【読書記】『法治の獣』 アイディアは秀逸だが、なんせ読みにくい。 | 模型づくりとか趣味の日々リターンズ

【読書記】『法治の獣』 アイディアは秀逸だが、なんせ読みにくい。

『法治の獣』でございます。

ハヤカワの「SFが読みたい!2023年版」の国内編第1位だそうです。

長編1本と中編2本の計3本が入っています。

 

表題作の『法治の獣』なんですが、

 

「裁剣(ソード)」と呼ばれる星の原生動物シエジーが、暮らしの中で自然に決まり事(「自然法」と呼んでいる)を作って生活しているのを見て、それをそのまま人類の法律として運用すれば、真に平等な法として運用できるのではないか、と考えた人々が、実証実験として、「裁剣(ソード)」のそばにコロニーを作って、そこでシエジーの自然法に乗っ取った暮らしをしている。そこに「神秘主義者」と呼ばれる、要は教条主義者みたいのがいてややこしくして、さらにこの実証実験自体にもある人の思惑が…

 

というような話なんですが、その前提条件を最初に語りだすところで、もう読みにくい。なんかこう、スッと頭に入ってこないんですね。

 

中編2本『主観者』『方舟は荒野をわたる』は共にファーストコンタクトもので、人類が他の星で原生生物を発見し、それにどうアプローチしてコミュニケーションを取っていくかという話。

ファーストコンタクトものというと、「未知との遭遇」みたいな、人類より発達した知性に触れることで、なんか人類も次のステージに上がったような気がしてうれしいぞパターンか、「エイリアン」やら「インデペンデンスデイ」のような、人類襲われてひどい目にあっちゃうパターンが代表的ですが、この2本は、人類側からアプローチするにあたり、安易な接触が相手にダメージをあたえてしまう危険性がテーマってことで、新しさを感じます。

 

でもやっぱり読みにくい。寝落ちすること度々。

 

まあ『ソラリス』もそうだったし、私が寝落ちするSFは名作かもしれません(笑)

いや~… 前から思ってたんですが、SFファンの皆様って頭いいんでしょうね。科学知識も相応にあって…

こういうのスラスラ読んじゃうんですかね…

 

そんなわけで自分にとってのSF、まあ文学全般がそうですが、名作と呼ばれる作品の敷居の高さを改めて感じさせられる一冊でした。腕に覚えのある方はチャレンジを。