【映画評】トゥルーノース 北朝鮮の強制収容所ってひどいな! で、みんな次どうする?
トゥルーノースでございます。amazonprimeで視聴。
テーマが北朝鮮で全編英語ですが、日本とインドネシアの合作、監督は在日コリアンの方だそうです。
北朝鮮で暮らす4人家族、父親が逮捕。母と息子と娘は父の罪名も知らされず裁判も無く、強制収容所に送られ、そこから強制労働の日々が始まります。裁判もなければ罪状も無いので、刑期がありません。永遠にそこで働かされます。
こういうお話なので、おおよそのストーリーは想像がつきます。過酷な労働、乏しい食料、高圧的な刑務官、収容者同士の不信と密告、牢名主のようなベテラン収容者とそれによる支配。抵抗、諦念、一度は支配する側へ組するもやがて反省、人間性の回復、慈善と賞賛、そして脱出…
監督は10年もの月日をかけて脱北者からの取材を続け、この映画の実現にこぎつけたそうです。
逆に言えば、多くの方のエピソードを再構成したものでありドキュメンタリーとかノンフィクションでは無いわけですね。
この映画の価値は、このような非人間的行為が一国家によって行われていることを世に知らしめること。
しかしながら、ノンフィクションではないために、この作品をもってかの国を糾弾することは出来ない。
かの国は「これはフィクションであり妄想のようなもので、西側諸国のプロパガンダに過ぎない」と言うでしょう。
この映画を見せられた我々は、次にどうしたら良いのでしょう?
そこが見えないと問題提起にしかならない。公式サイトを見ても、この後について何らのサジェスチョンも無い(日本の大手製作&配給会社がこんなことに関わるはずもなく…)
アニメ作品として優秀で、説得力のある作品であるだけに、観るだけで次のアクションに何らつながらない状況が歯がゆい。
北朝鮮による拉致問題を我が国は抱えているわけですが、これも何ら進展が無く。
すぐ近くにあるのに、どれだけ遠くにあるんでしょう。かの国は。
そんな思いが交錯する、なかなかに複雑な感情を呼び起こす映画でした。