【映画評】MINAMATA 水俣だぞ真面目に撮れよ
MINAMATAでございます。
はい、残念です。
何が描きたかったんでしょう?
水俣病について世に知らしめたかったんでしょうか?
落ちぶれた、盛りを過ぎた元名カメラマン(ユージン・スミス)が水俣との関わりを通じて再生する物語でしょうか?
それともスミスとアイリーンの恋物語でしょうか?
そのどれもが中途半端です。
日本人にとっては大変重い事件であり、高度成長期の日本の暗部であります。
軽々しく扱ってはイカンものです。
ですけどこんな映画では…
言っちゃナンですが、パイレーツ・オブ・カリビアンを始め、エンタメ系で売れた俳優ジョニーデップ(主演&プロデュース)が、晩年を迎え、ここ数年の主演作の不調もあり、社会派も出来るんだってところをアピールしたくて、こういう素材を選んだんじゃないかと勘繰ってしまいます。
でもこんな未消化な作品つくるようではダメダメですね。随所に見られる史実との相違も、まあ映画なんだから多少はしょうがないか…と思いつつ、有名な写真「入浴する智子と母」の撮影シーンで、なんで風呂桶が土間にナナメに置かれているのよ…と、なんかよくわからん演出をしているな、と思ったりします。
ラストカットの意味不明さも、作り手の混乱ぶりをよく表している、と。
ただ、さすが日本側の役者さんは、水俣という素材の重さを十分に分かっていて、いい芝居をしてくれてます。真田広之さんと國村隼さんはこの映画の救いですね。
ともかくも、水俣病を知るにはスミス氏の写真そのものを見る方がよほど良いです。いいサイトがあったので紹介しておきます。
水俣病特集 MINAMATA ユージン・スミスの伝言 - プレミアムA:朝日新聞デジタル (asahi.com)