【映画評】RRR 「イヨッ!待ってました!!」が3時間続く幸福感。
RRRでございます。
なんと日本では昨年の10月からのロングランだそうです。おめでとうございます。
3時間の長尺(インド映画ではありがち)ですが、ぶっ飛びました!!これはスゴイ!!
少なくとも映画館で観ることを強くオススメします。私はIMAXで観ましたが、映像も音もスゴイ迫力で、これは家で観たらその魅力は半減以下でしょう。
基本、アクションと分かりやすいストーリーを楽しむ映画であります。
このブログでは、「ストーリーはシンプルで分かりやすい方がアクションを楽しめる」と常々お伝えしておりますが(逆に言うと、ストーリーに理解出来ない部分があると、そこが気になってアクションに入りこめない)、この映画については、さらに踏み込んで(というか、原点に戻って)、シンプルなストーリーそのものも楽しめる作りになっております。
つまりだ。浪花節とか歌舞伎の世界ですわ。
男性が2人。互いの立場や素性を知らぬまま親友となっていきますが、やがてその立場ゆえに敵対する。でドラマがあって葛藤があって、最後は手を組んで巨悪を倒します。「行くぜ、兄弟!」「合点だぁ!」てなノリです。
そもそもこの2人が嘘くさいほど強いので、スーパーヒーロー物のような爽快感まで足されて、もうカツ丼にカレーかけて生卵乗せたような仕上がりなわけです。
いくつも見せ場がありますが、「予想を覆す」というよりは、そのキャラクターのやってくれそうな、やってくれよと期待する線をやってくれて、「キターーーー!!!!」と思わせ、その上でさらに畳みかけるように、「そこまで来るかー!!」とやってくれます。この匙加減が絶妙なんだな!
浪花節は、泣きたいところで期待通りに泣かせてくれるストーリーで、ネタは親子とか兄弟とか夫婦とか子弟とか、日常の世界で想像できる範疇で話が進みます。
歌舞伎は、観客は「ここで見得を切る」と分かっていて、そのタイミングで見得を切ってくれることに満足し、「成駒屋!」「音羽屋!」と来るわけだ。
まあ言ってしまえば「予定調和」とも言えるわけだが…
いいじゃない!
映画も配信で観ることが増えて、同じ映画を何度も観られるためか、一度観ただけではストーリーが分からないように作ってあって、何度も観て分析やら解釈やら考察やらをするような観方が主流になりつつあるが、大量に流れてくる映像作品それぞれを、それほど時間をかけて観られるわけでも無く。こういう分かりやすい映画が評価されていることに、作り手ももっと着目していいんじゃないか…と、そんなことも考えさせられる映画でした。