【書評】テスカトリポカ ネタバレ無し 怖いけど面白い~ | 模型づくりとか趣味の日々リターンズ

【書評】テスカトリポカ ネタバレ無し 怖いけど面白い~

『テスカトリポカ』でございます。

 

直木賞、山本周五郎賞 ダブル受賞でございます。

税込み2,310円でございます。

これで面白くなかったら怒ります。

 

…怒りません。面白かったです。

平日なんて本どころか新聞すらロクに読まない自分が、平日の夜毎日1時間、一週間読んでました。日本酒飲みながら。

そのせいか今日なんか、目に血が出てましたwww

 

ざっくりストーリー言うと、メキシコの麻薬カルテル(既に怖い)が敵対するカルテルに殲滅され、辛うじて生き残った幹部の一人が日本にたどり着き、再起のために組織を作り、斬新な方法で資金作りを開始する、というもの。

で、日本の暴力団やその種の組織と大きく違うのが、彼の行動がすべて、古代アステカ文明を源とする思想(宗教)に基づいていること(テスカトリポカってのはアステカ最強の神の名前)。裏切者に対する過酷な罰として行われる儀式は、人に内在する暴力衝動を満たすものであり、同時にその体験を共有することで仲間同士の間に深い絆を作り上げるものである。組織のメンバーは「家族(スペイン語でファミリア)」である、と徹底的に教え込まれる。

 

まあこんなやり方で結束しちゃうような連中ですから元々がロクな奴じゃないわけで、もちろんロクでもない奴が慎重に選ばれて仲間にされるわけです。

なんでしょうねー、この物語の魅力は。宗教的な背景によって暴力の凄みが増すってところでしょうか。麻薬で商売するのももちろん、それ以上にヒドイ非人道的な行為がビジネスとして出てくるんですが、すべて、かつてアステカを滅ぼした白人への復讐だと言われると、こりゃ罪悪感なんて持たんわ。かなわんな。と思ってしまうんです。

 

じゃあこの話、どうケリがつくのかと言うと、ああ確かにこれしか無いわな。納得。というところでございます。

 

謎解きがあるとかどんでん返しがあるとか、そういう類のものではないのに、先が気になってページをめくる手が止まらない、お勧めの一冊でございます。