【映画評】「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」 アトラクションと割り切って観られるなら…
R1.6.16 imax3dにて鑑賞
映画の見方、楽しみ方は今や根本的に変わってしまったなあ、と強く感じた一本でした。
まあたとえばアカデミー賞を取るような映画は、脚本、美術、衣装、音楽、俳優の演技等様々な要素が各々が高いレベルであり且つ、組み合わさって相乗効果を生むような物だったわけです。
そしてまた、かの押井守監督曰く「理屈のないアクションなんてありえない」。理屈抜きのアクション!が映画の宣伝文句として使われる一方で、本当にそんなものが楽しいとしたら、水戸黄門も必殺仕事人も、最後の15分だけあれば良いわけです。しかしそうはならない。なぜ唐獅子牡丹が映画のラストで殴り込みと行くシーンが痛快であるのか、どこか切ないのか、そうなるまでの経緯が映画で語られ、観客が主人公に感情移入するからなのであります。
さて昨今、IMAX、3D、4DXと、劇場映画が果てしなくアトラクションに近づいて来ておりますが、今回の「ゴジラ キングオブモンスターズ」の迫力たるや。見上げる高さの怪獣同士のどつき合い、降り注ぐガレキ、激しい爆発、目の前にどっかーん!とばかりに落ちてくるキングギドラの大頭。どれもこれもすさまじく、まさしく自分が大災害の只中に放り出されたようです。
そしてその一方で、人間ドラマの薄いこと薄いこと!もはやシナリオなど、怪獣が目の前で戦う状況になるまでを説明するための役割しかありません。
そもそもがモンスター・バースなんてMCUの二匹目のドジョウ狙いで、モナークなる組織やら巨大空中戦艦やら、エンディングの最後に次回作への伏線となる映像を入れるところまで、そこまで似せなくてもよかろう…と思わせることをやっている。
そんな雑な映画だが、あの怪獣バトルシーンの迫力だけで、それなりの得点を与えざるをえない。それほど衝撃的だったわけです。アトラクションとして。
長く心に残るような映画ではないし、ゴジラそのもののキャラ付けも日本では核の象徴であり、忌むべき対象だったのが、この映画では地球の守護神であり怪獣の王であるという描き方をしているのも気になるし(他怪獣がゴジラに頭下げるシーンは、ライオンキングの予告観た直後だったこともあり、失笑ものだった)、怪獣17匹出たとか言いながら画面には6匹ぐらいしか出ないとか、なんじゃらかんじゃらあるわけですが、あくまで娯楽として見られるならお勧めです。
あ、チャン・ツィイーがきれいなオバサンになっていたのは見どころです。
評価…☆☆☆