ハードでこれ以上無いほど盛り沢山、充実した3日間でした。出演者も観客も。

九州・有田で8/9・8/10開催されたクラシックスパーク音楽フェスティバル、称して有田クラスパ。

翌日8/11の有田町観光や9日夕食時の演奏や10日のアフターパーティーとイベントも多かったフェス。

 

カンパニーイースト所属のアーティストである ザ・レジェンド・鍵盤男子・西尾周祐そして新垣隆。

及びゲストアーティストのレ・フレール・吉武大地・EDISON、スペシャルゲストアーティストの林英哲&英哲風雲の会。

 

個性豊かな実力者揃いの出演者による、合計7ステージ+6ライブワークショップのなんと13公演+イベント。

その中で最多出演者として大活躍の新垣先生。実に2日で8公演(初日5公演(含9日夕食会の演奏)、翌日3公演)!

フェスのテーマソングである「焱の歌」の作曲も(編曲は中村匡宏さん)するという、八面六臂のご活躍でした。

 

今回は新垣先生ご出演ステージライブの記憶を記録しておきます。

 

まず8/9のオープニングアクト。出演者がロビーフロアに続々登場しオープニングの挨拶です。新垣先生作曲「焱の歌」披露。

出だしが、もういくつ寝ると、、、の「お正月」の旋律に似ているようで異なる民謡風。レジェンドさんの合唱で聴くと、どこか「ペルシャの市場にて」の男性合唱のようなノスタルジックさがあって良い曲です。

有田町では今後町内放送に使っていくのではというお話もあり。

早速、ホールの館内放送では使われていました。(椀琴演奏版)

そしてこのテーマ曲を最終ステージで観客全員で歌い、有田焼カスタネット(お皿)を打ち鳴らしながら大合唱するので覚えてくださいねという企画がこの時レジェンドさんより通達あり。観客協演型フェス。観客もボーっとしていられません。

何しろ1日8公演を良席でコンプリート観覧するために、お昼ご飯時間もほぼ無しで手際よく動かないといけません。(^^;

(但し暑さに弱い自分はすぐゆったり怠けペース)そう、後方席観覧でも、とても響きの良いホール&高級ピアノ・SIGERU KAWAI。

聞くところによると協賛の河合楽器さんが〇千万円で東京から運んでくれたものとか。流石クリアで素晴らしい響き。アーティストの演奏が一段と輝くと観客の皆様感心しておりました。

 

その素晴らしいピアノ演奏のステージ、初回は鍵盤男子のスーパークラシシズム。

ここで新垣先生の面白エピソード。

ご自身が出演する回以外のステージを全て観客席の後方右端からご覧になった新垣先生(多数出演で忙しい中でも音楽を楽しんでおられますね)、運命やカノン、四季などクラシックの名曲11曲が引用されているメドレー方式の曲、鍵盤男子中村さんがさあ何曲入っていたでしょうかと場内に問い、なぜか3曲のところで勢いよく手を挙げられた。

中村さん爆笑しその後のワークショップで、新垣先生にそこを問われたところ、先生曰く

「3曲でしたよね。カラス(ここ自分の記憶曖昧)とカステラ1番と遠き山に日が落ちての」で場内爆笑及びポカーンとなったのは言うまでもありません。

作曲のジャンル分けを切り詰めるとそうなるのでしょうか?

でもその後に、ベートーヴェンが入っていたとうっかり話されて、あ、3曲では無かったですねすみませんと自己訂正をされる。照れ

そんなほのぼのとしているようで実は挑戦的な音楽分析といった流れで、鍵盤男子との実践。「焱の歌」を黒鍵だけでアレンジする、或いは右の旋律部分をグーで弾いて繰り返し、それに合わせて下支えの音を即興で演奏するといった指示を出されて3人で実験的即興演奏披露。

凝った響きを集中して奏でる名ピアニスト3人。終わった時に大井さんが「高度な演奏だった」と仰ってました。

常々思うのですが、演奏家の集中力を引き出すことにかけて新垣先生は達人ではないかと。

 

その後ステージⅢでは大井さんと新垣先生の連弾「白鳥」に始まるクラシカルステージ。大井さんのしっとりとしたノクターンや月の光、海の上のピアニストなどのソロに続いて新垣先生のソロ。最近よく演奏されている曲ですが、この選曲理由がユニーク。

始めの「グラドゥス・アド・パルナッスム博士。これはプレリュードとして自分の緊張をほぐすという点と、先ほど大井さんが演奏した海の上のピアニスト」の出だしを受けてのものとの事。2曲の出だしのところを弾いて証明されましたが、成る程両曲が共通していました。

次にストラヴィンスキー「ピアノ・ラグ・ミュージック」。前のステージで鍵盤男子が弾いた「春の祭典」を受けて、と仰ってストラヴィンスキー繋がり。今日はこのように鍵盤男子を意識して継いだスタイルのようでと観客の笑いを誘ってました。

お得意の即興演奏はSAGAの音名ミ♭ラソラを主題とした曲。

即興はお得意で、どんなものでも音楽にできないものは無い、とうそぶいていたところ、先日のTV(KBCドオ-モ)ロケで、絶叫マシンに乗った自分の顔を見て即興をと言われたがそれは初めて、出来なかった、何も思い浮かばなかった、とか。(笑)

その後も最近コンサートでお馴染みとなったカール・エマニュエル・バッハのソナタ。今の音楽のもととなる語法を作ったという解説。

ソロの後は、有田の椀琴アンサンブルとの共演。新垣先生の作曲「窯声(ヨウセイ)」

お椀を叩いて奏でられる安定感のある澄んだ音に新垣先生のピアノが加わり、時間が流れて動いていく。どこか前衛的な趣あり、素敵でした。

最後に新垣先生のコメント、とても繊細な大井さんの演奏の後に演奏するのは大変でした。そして、二人で連弾できたことは中村さんには内緒です、と茶目っ気あるお話で締めくくりました。

初日最終ステージⅣ 

和太鼓・林英哲さんのステージのゲストで新垣先生登場。共演の曲目は湯山昭「鬼あられ」。凄まじく激しいものでした。和太鼓の強大なボリュームに対抗する新垣先生の演奏は、手、足、胴体、身体全部を使い全身全霊で鳴らす響き。

やはり客席で観覧していたレジェンドさんや鍵盤男子の皆様などを始め、観客によるブラヴォーのスタンディングオベーション。高揚した初日最終ステージとなりました。

激しい運動で疲労もピークでしょうしこれで終わりかと思ったら、新垣先生はこの後更にツアー客の有田焼鑑賞食事会の演奏のお仕事。

1 J.ブル 「王様の狩り」

2 J・A・ラインケン「フーガ ト短調」

3  J・パッヘルベル「アリアセバルディーナ」.....カノンも引用

4 A・E・シャブリエ「即興曲」

5 新垣隆 「焱の歌」......近代、西洋の音楽の世界に仲間入りをした日本という位置、しかし有田焼の歴史はまたそれと異なる(逆に古くから西洋に影響を与えていた)ことを踏まえた曲という解説。

「有田焼を巡る美食と美音の時間旅行」との食事会テーマの音楽監修者として、16世紀から現代までの有田焼歴史に沿った曲目選定・解説と演奏。

本当にお疲れ様です。

初日5公演の新垣先生でした。翌日に続きます。