『がんばれ~!もう少し!もう少しで殻から出れるぞ!がんばれ~~!』

手伝えるものなら手伝ってあげたい気持ちを抑えながら、ただただ見守り続けること
数十分・・・ようやく身体が完全に殻から抜け出し、反り返っていた身体を起こして殻にしがみつきました!

『やった~!』\(^-^)/

後は身体と羽根が乾くのを待つだけです。
透き通った薄い緑色の身体は何とも言えない位、綺麗。
羽根はまだ伸びきらず、くしゃくしゃです。

羽化したセミちゃんはその体勢を整えようと、改めて殻に掴まろうとしたその時。

!Σ( ̄□ ̄;)

なんと!殻が壁から外れ、殻ごと背中から落ちてしまいました!!
羽化するに選んだ場所が不安定だったのでしょう。

羽根もまだまだくしゃくしゃのこの状態では、飛べなくなってしまう。
いや、それ以前に足すら満足に固まっていないこの状態では自力で起き上がることすら出来ない・・・

やっとの思いでこの日(羽化)を迎えたのに、こんな終わり方は切なさすぎる(*_*)
私は反射的に殻ごとセミちゃんを手に取り、緊急救助に出ました。

本能的に私が持っている脱け殻に一生懸命しがみつき、必死に生きようと頑張る姿に
何とも泣けてくる気持ちです!

『絶対に助ける!絶対に空を飛ばしてあげたい!』
私は固定されない不安定な脱け殻の代わりに、私の指を差し出すとまだ弱々しい足で
ふらふらしながらも、しがみついてきました。

私は指にセミちゃんを付けたまま院内に入り、身体が乾き、羽根が固まるまで一緒に過ごすことを決めました。
まだ、不安定な身体は少しの揺れでも落ちてしまいそうな為、私も微動だにせず
ただただ、じ~~っとすること約2時間。

身体、羽根共にだいぶ固まってきた様で色も茶色がかって来たので、

『時間は気にしないでいいから、自分のペースで飛び立つ時を決めるんだぞ!その時は何かサインをしてくれたら一緒に外に出てあげる。外では君の先輩達が楽しそうに鳴いてるよ(^-^) もう少しだね。頑張って!』

なんて話しかけたりしていたら、羽根がブルン♪って!

そろそろかなと思った私は時間も遅かった為、
『外に出るから、自分の好きな時に飛ぶんだぞ!』と
指に付けたまま自宅に向かいました。

続く