アドヴェンチャーPart-3-2 | tomioka-tetsuのブログ

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2018年5月狭心症 7月黄疸 8月すい臓ガンステージⅢ 手術不可
9月よりTS-1 服用して4クール終了。3月から Gem+Ab の予定。
ガン腫瘍は昨年8月の2.8mm から1.7mmに縮小。
家族のため、そして応援してくれる仲間のために懸命に闘っています。

 

3月5日投稿

                      

                                          スエーデン国旗

          

5月上旬、ストックから西へ日帰り可能な山中での養鶏場で仕事に就く。表向きは「養鶏場の管理」になっていたが、なんということはない、にわとりの糞運びにすぎない。くさかったなー。普通、悪臭がきついと鼻を覆うものですが、俺の場合は、タオルで目を覆っていた。刺激が強くて目を開けていられなかったのだ。しかも発酵していて熱を持っていた。

 

寒さ厳しいスエーデンでも仕事場はまるでサウナ。その糞が1メートル以上も積もり、それを外へ運び出すのが俺の仕事だった。スエーデンのフオークはでかくて重くてね。持ち上げるだけで精いっぱいだったな。それに糞を大盛りにして運ぶのである。いいかげん嫌になっちゃう。

 

でも金になるからね。1日5000円稼いでいた。ヒッチハイカーの仕事としてはかなり良い方だった。だから必死にやったよ。でも、スエーデンまで来て鳥のウンコ運びをやるなんて思ってもみなかったけどね。

 

              個人で所有の古城

 

スエーデンで仕事することは合法的であったか否かは覚えていない。現地人と接触する機会はほとんどなく、数人の日本人ヒッチハイカーとの共同生活だった。

 

親方とのコミュニケーションは問題なく出来たので、俺はさらに人里離れた養鶏場を任されていた。夜はオオカミの遠吠えが聞こえるほどの辺鄙な場所で薄気味悪かった。

 

5月中旬、やがて雪が消え、道路の両側に畑が現れると、そこには正に神様の贈り物が待っていた。道路沿いの畑には、キャベツが落ちていたのである。少なくとも俺にはそのように見えた。

 

養鶏場なので卵はいくらでもあった。毎日、朝50,昼50,夕食として30個+ささみ10本程度。卵とささみが主食の日々だったので、キャベツは宝物みたいな存在だった。ありがたかったなー。キャベツを入れると、まるでオムレツのような御馳走が出来あがったのである。本当に嬉しかった。

 

               スエーデンの田舎町

 

実は、あの養鶏場にはアメリカ人が一人働いていることに気づいた。名前をポールと言った。

 

ポールと初めて言葉を交わした時の感激は今でも忘れることはできない。それはまさに俺の人生を変える強烈なターニングポイントであった。

 

ポールの話す英語を初めて聞いた瞬間、全身を電流が走るような感動を覚えた。背中がゾクゾクッとするあの感覚です。大変な衝撃であった。これこそ俺が長い間探し求めていたものだと直感した。

 

               のどかな風景

 

彼の話す英語は、俺が1年間イギリスで学んだ英語とは似て非なるものに感じられた。宝物が人里離れたスエーデンの山奥で俺が現れるのを待ってくれていたのであろう。

 

人生の宝に巡り合えた感激は大きく、すぐさま次の行動へと導いてくれた。アメリカへの旅立ちである。とにかく“アメリカへ行こう”と即決した。

 

ボストン出身のポールはベトナム戦争からの脱走兵だった。1960年代後半、ベトナム戦争が激しさを増し、アメリカはB52で北ベトナムやラオスを爆撃していた。

 

ポールはその激しい戦争から逃れ、他人と接触することの少ないスェーデンの山中で密かに生き延びていたのであった。軍隊では脱走は重罪である。本人は、生きて故郷へ帰ることはかなわぬことであると認識しているようだった。せつないねー。

 

              思い出いっぱいのスエーデン

 

卵とささみを主食にした生活も2か月を過ぎたころ、ある日突然胸が痛くなって意識を失った。今流で言えば「狭心症」であったかもしれない。数日間唸っていたらしいが、その間の介護はポールがしてくれていたという。いろいろな意味でもう命の恩人である。

 

俺は「救急車を呼ぶなっ」てうわ言のように言っていたらしい。後で大笑いしたのですが、スエーデンでは医療費は無料でした。イギリスでも無料でしたね。

 

「税金の高負担」、「高福祉の享受」と言われているスエーデンですが、ふつうに働いていれば所得英は50%くらいになるという。消費税は25%、但し、日常生活で頻繁に利用する物, 例えば、食料品、日用品、レストラン、ホテル等では12%だという。

 

高福祉の国だけあって、幼稚園から大学までの教育費は無料です。医療費は勿論ですけど。

 

日本では、消費税の8%負担から10%への増税に大騒ぎをしていますが、どちらが現実的なのでしょうかね。真剣に考える必要があります。

 

                  コペン側から見たマルメ港(スエーデン)