いつの間にか眠っていた






久しぶりに自分の布団に入った気がした






起き上がって、通夜と告別式に行く準備の確認をしながら、昨日、葬儀屋さんで生まれて初めて「喪主さん」と呼ばれたのを思い出していた








そっか、私が喪主なんだよな







ぼんやり思う







私はフォーマル服も、パールの装飾品も持ってなくて、就活で着た黒のパンツスーツを着ようと思っていたが、喪主の場合の喪服について気になったので、ネットで確認することにした。







いろいろ書いてあったけれど、ほとんどの記事で、喪主が女性の場合、パンツスーツはNGらしかった。女性のパンツスーツは「略喪服」といって、最も格式の低い喪服になるらしく、参列者ならOKだが、喪主となる場合は、参列者より格式を上げた「正喪服」をもって、参列してくださる方を迎えるのがよい、とされていた。






夫の関係者が、時間を割いて来て下さるのだから、できる限り失礼のないようにしたい。

朝8時前。通夜まで時間はあるから買いに行こうか?でもどこへ?スマホでいくつか店舗を検索するが、動揺してパニックになっていた。






意味もなくスーツケースの中をまさぐったり、部屋の中をうろついたり、今思えば奇怪な行動ばかりしていたと思う。娘は黙ってスマホを触っていて、服の話をすると、「そうなん!?おつかれー」とスマホの画面を見たまま答えた。






30分くらい経ったときに、受付をお願いしていた、共に夫を看取ってくれた友人から「少しは眠れた?」とLINEがきた。

彼女は仕事を休んでくれ、今日も明日も受付をお願いしていた。






喪主の服装の件を相談すると、

「行けるんやったら、車で乗せて行こか!?

買い物行くからついでやで」





と言ってくれて

ご夫婦で車で迎えに来てくれた。






家から一番近い、紳士服・フォーマル服専門チェーン店に連れて行ってくれ、友人が店員に事情を説明して、喪主が着ても恥ずかしくない、一番安い黒のフォーマル服を探してくれた。

試着した姿を見せると友人は深く2回頷いた。






「これもいるで、ある?」と友人が黒のストッキングを2つ持ってきてくれ、受け取って一緒にレジに持っていった。

「カバンもないわ、黒の革のやつあるけど」と言うと

「黒やったらええんちゃう?黒光りとかじゃないやんね?それはまた今度でええやろ、カバンは誰も見いひんて、かまへんかまへん!!いくで!」

10歳下の姐さんは頼もしかった。