今年のバースデイは長崎県・五島列島で迎えました。

 

 

長崎に訪れるのは修学旅行や社員旅行を含め、今回で4回目。五島列島への上陸は初となりました。


今回滞在したのは、中通島の北部にある「五島列島リゾートホテル MARGHERITA」。もともとは国民宿舎だった場所を全面リニューアルして、5年前の2012年3月にオープンしたホテル。位置的な面はもちろん、どくとくの雰囲気が印象的でした。

 

 

 

五島列島リゾートホテル MARGHERITA

 

■五島列島キリシタンクルーズ

今回は「五島バス」さん主催の「五島列島キリシタンクルーズ」に参加しました。中通島から福江島まで、各種ポイントに訪れるというもの。

 

 

スタートは、ホテルから南に下り、中通島有川港横にある「五島うどんの里」。まずはここから30分ほどタクシーに乗り、若松港へ。集合時間は7:30とのことで、ホテルを出た7:00前はまだ外はまっくら。

 

タクシーに乗り、まずは最初の訪問場所「中ノ浦教会」へ。

 

 

ここは、木造の教会で、晴れの日にはその姿が海の水面に映る姿がとても素晴らしいと言われています。この日は曇り空、しかもまだ朝早かったこともあって、移った姿までは観られませんでしたが、白の外観がとても素晴らしかったです。

 


こちらを訪問したあとはさらに20分ほどタクシーに乗り、若松港へ到着。ここからもタクシー移動。タクシーと言っても水上タクシーです :-)

 


やや風が強いとのことで船の揺れをちょっと心配していましたが、まったく心配はなく。15分ほど乗船して観えてきたのがここ。

 


若松島の里ノ浦にある「キリシタン洞窟」。ここは明治初期、隠れていたキリシタンが焚き火の煙が原因で見つかってしまい、捕縛され拷問を受けたとされている場所です。1967年に十字架と3メートルのキリスト像が設けられたそう。今回参加したツアーでは上陸はありませんでしたが、船の上から観たからこそ、こんな場所にキリシタンたちが隠れなければいけない時代があったという事実が強く伝わってきました。

 

さらに30分ほど船が進み、次の上陸ポイント、奈留島へ到着しました。奈留島は五島列島のちょうど真ん中に位置する島。この島にあるのは、国の重要文化財で、2018年の世界文化遺産候補となっている「江上天主堂」です(すでに一度推薦されて、2016年、一旦取り下げられた経緯があります)。

 

 

残念ながら現在は改修工事の時期とぶつかってしまい、遠目からしか観られませんでしたが、関連資料とともに、ガイドさんのほか、教会守と呼ばれる方の、生の声での解説を伺うことができました。

 

 

この島に限らず、宿泊した中通島や若松島でも感じたのが、人の存在感の少なさ。実際に発表されている資料によれば、五島列島(有人島)全体で、ピーク時の昭和35年(1960年)の14万人強から、平成26年の調査では約7万人と、人口が半減しているそう。

 

日本はこれから少子高齢化が進むと言われていて、実際、僕が今、仕事で関わっている青森県もそういう事実が見えてきていますが、ここ五島列島は、さらに離島という要因も加わって、その状況変化を目の当たりにしたように思います。

 

話がそれましたが、今回のガイドさん、そして、江上天主堂にいらっしゃった教会守の方は、いずれも五島列島出身の方でここに住んでいること。場所としてはほとんど人の存在感がなかったからこそ、そこに人がいること・住んでいることに強く印象を受けました。

 

 

それからこの奈留島は、僕が大好きな野球選手、野茂英雄投手のお父さんのご実家があった島だそうです。今は、野茂さんの叔父さんが住んでいる、と運転手さんが教えてくださいました。

 

こちらは奈留島の入口にある観光センターの資料。アルバムならぬ、ナルバム。

 


さて。奈留島からさらに船で南西に下ること10分。空が晴れてきました。

 

 

次の目的地である久賀島(ひさかじま)へ到着。ここには「旧五輪教会堂」があります。上陸前に船上から観た様子(一番左の建物)。

 

 

船から上陸すると、あまり人の気配がない建物と道。

 

 

 

この旧五輪教会堂も木造の教会。長崎県にある教会としては、長崎市の大浦天主堂についで古い建築物とのこと。

 

 

この久賀島も、明治以降での多くのキリシタンに対する迫害が強い地域だったそうで、その説明などを聞き、その魚英で、禁教が解かれて建設された、この旧五輪教会堂(もともとは浜脇教会と言ったそうです)の存在意義はどんなだったのか、なんていうことも少し思い浮かべました。


最後の目的に行く前に。先ほどの奈留島から久賀島へ行く途中に、2つほど印象的な場所を通過しました。

 

1つ目は「前島と末対馬のトンボロ」。

 

 

トンボロとは、普段は海によって離れている陸地と島が干潮時に干上がった海底でつながる現象で、ちょうど前島と末対馬がつながっているところを(遠目に)観えました。


もう1つは「蕨小島」。名前のとおり、ここに住んでいる住人9名の名前は全員「小島」さんとのこと(ガイドさん情報)。そして、なぜこの島に人がいるのか、そのあたりは、2013年4月1日に施工された離島振興法改正と関係があるそうで、島国日本にとって、島とその周辺の海域は国の資産。国土の保全の観点で重要な役割を果たす島の振興を促すための特別な措置を推奨するようになり、その蕨小島もその1つとして認定されているそうです。

 

さて、久賀島・旧五輪教会堂の見学を終え、20分ほど船に乗り、ゴール地点の福江島・福江港へ到着。この福江港近辺が、五島列島の中で最も繁華街とのこと。地名も五島市となっています(中通島、奈留島、若松島などは上五島と呼ばれ、区分も上五島町です)。

 

 

まずはここまでの約4時間半、訪れた場所は数ヵ所でしたが、1つ1つの場所に残された記録と歴史、何より、実際に足を運んで感じた人気のなさ、音に関して言えば自然の波の音や海鳥の鳴き声のみ。なのに、感覚的にはとても刺激的な空間、そんな不思議な、貴重な体験ができました。

 

■福江島・福江港

このあとは福江島でランチを取り、今度は北上してホテルに戻ります。ランチに関しては、ガイドブックやネットを調べつつ、ネットで検索してできたこちらのお店に決定。

 

うま亭

 

地元の方向けの定食屋さんという雰囲気ですが、五島名産の食材、料理が楽しめます。僕が選んだのは、五島牛の焼肉丼と五島うどんのセット。これがまためっちゃ美味い。

 


余談ですが、おそらく五島列島に関してのブログってまだまだそんなにないみたいで、この「うま亭」さんのエントリをちょいちょい見かけます。これから先、仮に2018年に世界文化遺産に認定されると、はたしてその様相は変わるのか、変わらないのか……そんな風にも思いつつ、僕もこのお店をプッシュしておきます。

 

とくにおすすめポイントは料理に加えて、フェリーの時間がある場合、「急ぎで」と伝えられること。このあたりのファシリテーションは素晴らしいです。ちなみに、この日は正午ちょっと前に入店しましたが、入店後、すぐに満席となっていました(回転率も早いですが)。

 

さて、帰りは福江島・福江港から最初に船に乗った若松島・若松港まで。高速フェリーで1時間40分ほどの旅。天気は一気に晴れ間を見せ、デッキに上がると風と日差しが気持ち良かった!(1月だから寒かったけど)

 

 

せっかくなので動画で少しだけおすそ分け。

 

 

■日島の石塔群、上五島の教会堂巡り
若松港からのルート。今回は、地元のタクシーを貸し切りでホテルに向かう時間を、オススメポイントを中心に周ってもらいました。ちなみに参考までに小型タクシー(運転手以外2名乗車)であれば3時間10,800円で貸し切りできます(ただし今回は3時間半だったので12,600円でした)。行きたい場所を指定することもできますし、オススメをお願いして、そこを周ってもらうこともできます。

 

今回、2つほどこちらから指定をし、あとはオススメポイントというコースで。

 

まずは僕が行ってみたかった場所へ。若松港から西にある、「日島の石塔群(「曲遺跡古墓群」が正式名)」です。

 

 

ここはいまだに謎が解明されきれていない、石塔が残っている場所。基礎の部分には1367年の銘が刻まれているので、その数字が正しければ今から750年前につくられたもの。ここで何が行われていのたのか、歴史を紐解くヒントとして、長崎県の文化財にも指定されています。

 

 


それから、この近くには若松ディアパークという施設があったとのこと。今は閉館していますが、名前のとおり、ここにはたくさんの鹿(ディア)が生息しているそうです。

 

それから、若松島に戻り、一気に中通島の北西の端にある「頭ヶ島天主堂」まで。ここも、2018年の世界文化遺産認定に含まれる場所の1つ。タクシー会社の方からオススメされました。

 

 

特徴なのは石造であること。西日本で唯一、日本でも珍しい石造の教会堂です。

 

 

この近くには今は商用では使われていない上五島空港があります。それと、先ほどの日島から頭ヶ島までは車で1時間強の距離感。端から端まで移動した感じです。

 

 

そして、この教会堂は海岸の小丘の上にあり、目の前にはすぐに海岸線。この場所へ建てたことにも理由はもちろん、いろいろな想いが込められているように感じました。

 

時間ももう夕方。最後の目的地は、運転手さんはもちろん、これまでお会いしたガイドさんほか多数がオススメしてくれた「仲知教会」。その理由は後ほど。

 

その前に。日程的に翌日朝イチのフェリーで長崎市へ戻ることになっていたので、地元のスーパー「エレナ」に寄ってもらいました。旅先での地元のスーパーって楽しいですよね。

 

 

 

 


そうこうして、日が落ち始めつつ、仲知教会へ。その前に。中通島へ北上する途中にある「青砂ヶ浦天主堂」にも寄ってくれました。


というのも、これまで木造や石造の教会堂を観てきたので、せっかくなら煉瓦造も、と運転手さんの心配りで。うれしいですね。

 


そして、いよいよ「仲知教会」へ到着。時間は18:00すぎ。あたりはもう真っ暗でした。「もし夕方だったら教会内からのほうが…」とやや申し訳なさそうに運転手さんにコメントされて。というのもここのステンドグラスは本当に一見の価値があるからです(ちなみに時間が遅れてしまったのはこちらがいろいろとお願いしたこともあったので、どちらかというとこちらが恐縮でした……)。

 

そのステンドグラス、日中であれば教会内から外の日差しを通して堪能できるのですが、残念ながら時間的にはもう無理。

 

でも!

 

 

そう。このときはタイミング良く教会内に入れて電気も点けられたので、外からの眺めを楽しめました。実際に観たら写真以上に本当に色鮮やかです!そして、1枚1枚にストーリーがあります。

 


これまで、日本国内はもちろん、国外、たとえば、大航海時代に伝わったとされる中米ではエクアドルの教会を、また、ヨーロッパではリトアニアなど、さまざまな国の教会、そのステンドグラスを観てきましたが、これは本当に素晴らしい。〆に最高の観光ができました。特徴的なのは、1枚目のステンドグラスにある、キリシタンの風体が日本人であること。これはとてもインパクトがありました。


こうして1日かけた五島列島巡り(教会堂+α)は終了です。まずは位置関係から。

 


先ほども書いたとおり、今回訪れた2017年の五島列島。僕の感想としては本当に人が少ない、寂れた島ではありました。また、シーズン的にもオフシーズンのため、観光客もそれほどいなく(でも、僕たちが参加したキリシタンクルーズは計3組が参加していたので、これは意外)。実際、フェリーに乗っていた人たちの半分ぐらいは地元の方たちの移動だったように思います。それと印象的だったのは、どの島も廃校が多いこと。これは考えさせられる。

 

そういった状況でも、ガイドさんや教会守、タクシーの運転手さんなど、そこで暮らしている人たちの生活、また、海に囲まれている島という空間、静けさ、建造物や遺跡が持つ見えない重さなどなど、42歳の誕生日で、素晴らしい経験ができました。

 

もう1つ余談で。このブログを書いている1月21日は、くしくも長崎を舞台にした映画『沈黙』の公開日でした。

 

 

映画の内容はここでは触れませんが、映画の舞台・時代から400年後の今、まさかこんなふうになっているとは、当時の方たちはどう思っていたんだろう、なんて思ったり、とにかくあの場所に訪れて、足を踏み入れられたことが本当に貴重でした。

 

この先、また訪れたいと思う一方で、場所的には簡単に行けないから、もしかしたら今回が最後の訪問かもしれないけれど、とにかく行けたことに感謝です。まだまだ日本という場所は広いし、奥が深い!

 

<おまけ>
五島列島は各種ツアーがあると思うのですが、参考までに今回の移動で思ったところ。今回滞在した「五島列島リゾートホテル MARGHERITA」は、中通島の北部。長崎県からの移動であれば、長崎 or 佐世保からフェリーで有川港まで。

 

もし車の運転が可能であればレンタカーをするのが一番自由度が高そうですが、僕みたいに運転できなくても、ツアー参加とタクシーで十分満喫できます。タクシーであれば酒も飲めるしね :-)

 

いずれにしても福江島方面に行った場合、帰りはフェリーに乗るか、北に向かうツアーに参加する必要があるため、そのあたりの時間調整(フェリーの出発時間)を調べておくことをオススメします。それから船酔いに関してはそれほど揺れる船ではなかったので心配はいらないかと(主観で)。

 

上五島町へのアクセス


その他、言った場所はShopCard.meにて。

 

長崎で行ったとこ。