年の瀬ですね。2015年もあと4日とちょっと。

さて,前回のブログの最後にも書いたように,昨今,IT/Web系コミュニティやイベントにおける世代論的なことを話す機会が増えてきました。

宗安さんが書かれた「Webのセミナーに参加して最近思うこと。」というエントリに近いしいことは,僕の周りでもいろいろなところで考えられたり話されたりしています。

そこで,自分が思う自分の世代とIT/Web/ネットコミュニティ・イベントについて書いてみようと思います。

■自分が思う同世代(今の40歳前後)
まず,僕自身2015年で40歳,そして,今参加しているWebSig24/7の中で,代表和田さんは1つ下,坂西さん,えふしんさん,ふうりさんは1つ上,それから,離れていても±2歳ぐらいのメンバーが多く,10歳違うのは1人だけかな(実名挙げた皆さん,年齢ばらしてスミマセンw)。

で,まずここで思うのは,この世代ってそもそも人数が多いんですよね。いわゆる団塊ジュニア世代(1971~1974年生まれ)と±2歳ぐらい。

加えて,インターネットの登場を自分の成長と照らし合わしやすいのもこの世代のように思います。

自分を例に取ると,Windows 95登場したのが20歳,そこからブロードバンド以降の日本のインターネットブームとガラケー全盛期(25歳ごろ),ソーシャルネット誕生(30歳ごろ),スマホ誕生(35歳ごろ)……となっていて,かつ,それぞれのIT/Web/ネットに関わるテクノロジーを盛り上げるメンバーが同世代に多かったな,と。とくに,今,IT/Web/ネット寄りと言われている人たちっていうのは,おそらく10代からパソコン通信とかに触っている人が多いんじゃないかと(例外ももちろんいらっしゃいますが)。

それから,コミュニティという観点で言えば,僕が今の会社に入社した1999年~2000年ごろにOSS(オープンソースソフトウェア)に関するコミュニティが多数登場した時代でもありました。まさにLinuxブーム,オープンソースソフトウェアブームの時代で,会社の枠を越えて技術について話す・語るという場が徐々に生まれたときでもあります。そして,2004年のmixi登場以降,ソーシャルネットを軸に,カジュアルなオフラインイベント開催の波が一気に来たように思っています。Web系で言えば,先のWebSig24/7もCSS Niteも10年以上経っているわけで。

なので,環境要因や時代背景から,IT/Web系コミュニティやイベントコミュニティに40歳ぐらいが多いというのはある程度の理由があるように僕は思っています。

また,仕事でも同世代と接することが多かった気がしていて,Web系に限ると僕の中では『Web Site Expert』という媒体で「キーパーソンが見るWeb業界」のレギュラーメンバーだった長谷川さん,阿部さん,雄さんと1.5~2ヵ月にいっぺん仕事を通じてWebの話を聞かせてもらいつつ,呑んだりできたことが今につながっているなと。これは出版という仕事をしていたからの結果ではありますが,近くにそういう企画に「前のめり」に乗ってくれる人,さらに,受け身じゃなくて議論できる人たちがいることがとても大きいように思っています。

なので僕の実体験としては「自分たちで何かをやる」ということを主体的あるいは自分の近くで感じる/感じられることが多くて,そういった活動に楽しさを感じると,それに倣う人たちも多かったんじゃないかと。結果,今のように40歳前後がまだまだイベントの最前線に出ていると思っています(出たがりも多いw)。

さらに言えば,先に挙げたWebSig24/7しかり,他のメンバーしかり,そういった人たちとつながれることが楽しくて,タイミングが合えばイベントも開催しちゃいます。


■自分の実体験の感想
……と書いてしまうと,じゃ,今の下の世代,若い世代はそういう出来事がないから,たとえば最初の課題にあった「イベントに若い人がいない問題」を解決できないのか,と終わってしまいます。

まず,そもそもとしてたとえば30歳前後の世代がイベントに出たりコミュニティをやっていないかと言ったら,実はそんなことはないと思っています。いわゆる86世代と言われる人たちや,最近のWebサービス,スタートアップ系の経営者やエンジニアは30歳前後が多いように思います。取材先で自分より年上と接する機会より,年下と接する機会の報が格段と多いです。

結局,上下関わらず,自分と違う世代のことを気にしてしまうのって,まず同世代だけでその話ができているかどうかに関わっていると思います。ようは「同世代の仲間をたくさん見つけられるか」かなー,と。

あくまで僕の感覚ですが,自分と同じ成長体験を持っている人と話す内容って心地良いです。とくに,IT/Web/ネットみたいに数年でいろいろなコトが変わってしまうものって,「あのときのあれ」みたいな話がしやすくて,そこで相づちが打てるとおもしろかったり。あと,その周辺として,芸能界やスポーツと言ったような,ネットを媒体として話せるものも。そういうのってやっぱり同世代であることが多いです。今,40歳前後がイベントによく出ている(と思われている)別の見方としては,

・40歳前後が同世代のつながりが強い
・つながっている結果,イベントやコミュニティ活動をしやすい
・かつ,自分自身がその世代としか接していない

ことの裏返しでもあると思います。つまり,若手がいないというのは,そういったイベントやコミュニティに数少ない若手が参加しているという見方もできるわけです。なので,「イベント・コミュニティに若手がいない問題」についてはどちらかというと40歳前後の自分たちが,どうやって若い人たちをどう取り込むのか,あるいは取り込まなくても良いのかって話でもあると,僕は思っています。


次に,これは1つの意見として。

もし自分より若い世代の皆さん,たとえば,10歳下の30歳の人たちが「イベントで発表したい」「同世代の参加者を増やしたい」というのであれば,まず,同世代だけの勉強会なり,イベントなり,オンライングループなりを作るのが良さそうに思います。

「そもそも仲間が見つけられない」っていう課題はあるかもしれないですが,極論言えばたぶん仲間が見つけられなければイベントなんてやる必要もないわけですし。一足飛びにイベントで話すことよりは,まずは1人でも2人でも同世代の仲間を見つけて,そこでチームを作ってそこから始めても良いんじゃないかなーと。

ちなみに,イベント開催に関しては,以前TechLIONにご登壇いただいた小山さんがおっしゃっていたことがとてもすばらしかったので紹介しておきます。
「要はイベントの壁が低くなったということです。10人くらいの勉強会だったら、それこそ10分くらいでいろいろ決められますし、動画やスライドを残すことも簡単にできますし、実際残すと「あれがよかった」ってクチコミがすごく広がるじゃないですか。
これはすごい世界ですよ。80年代、90年代はこうやってマイクを持ってお客さんの前でしゃべることはけっこう特別なことだったんですけど、ITのおかげ。我々が15年くらいかけて獲得してきたことなんです。」
ですから,イベントに若手が少ないと感じた場合,あまり先を考えずに,どんどんイベントの数を増やすのも1つの手かなと。打席に立たなければヒットもホームランも三振もないですし。

あと,同世代という点で僕の周りで大事だと思っているのは,どんな立ち位置でも自発的に動けるかどうか。もう1つはアウトプットもだけどインプットを上手くすること。

アウトプットが上手い人っていうのは突き詰めると目立ちたがり屋なので勝手にできちゃうことが多いんですが,インプットが上手い人になるのは実は難しいと思っています。

どういうことかというと,インプットが上手い人は自分が知りたいことに貪欲であると同時に,アウトプットをする人とのバランスを取ることが上手い人だと思っていて。アウトプットしやすく環境を作るとか。周りを巻き込んで,自分の知りたいことをイベントという体で実現しちゃう人とか。自分自身がインプットを上手くできるようになると,結果としてアウトプットする人やアウトプットする場が増えると思っています。


ちょっと偉そうに書いてしまいましたが,IT/Web/ネット系を15年以上見て,参加してきた一人の立場として書かせてもらいました。

前に「インターネット文化と恩送り」でも書いたように,つないでいく,続けていくことが大事だと思いますし,IT/Web/ネットの世界が,さらに楽しく続いていけたらいいなと思っています。

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(追記)
今回,自分と同世代の目線,自分より若い世代に向けての意見という書き方でしたが,僕自身社会に出てからずっと諸先輩方に大変お世話になり,とくにIT/Web/ネットに関しては,そういった方たちが引っ張ってくれているからという想いがずっとあります。自分自身,考え事があったときに相談できる諸先輩方がいたことはすごく大きかったですし。いつか自分もそういう存在になれたら嬉しいです。あと,あえて小言っぽく書くと,その場合は,自発的かつ“素直に”相談することが大事だと思います。
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最後にもう1つ。経験からのアドバイスとしては,コミュニティやイベント活動をするときに無理をしないこと。今の時代「できません」「わかりません」が言いづらい・言いたくない時代になっているように思うんですが,これって当人はもちろん周りにも迷惑がかかるので。

ということで,年末につらつらと思うことを書いてみました。

(おまけ)
このあたりを考えるうえで個人的に参考になった本です。

コミュニティを問いなおす ――つながり・都市・日本社会の未来 (ちくま新書)/筑摩書房


多縁社会―自分で選んだ縁で生きていく。/東洋経済新報社


ふるさとを元気にする仕事 (ちくまプリマー新書)/筑摩書房