年が明けてちょっと時間が経ちましたが,2013年に読んだ本の振り返りを。

去年読んだのは以下25冊(分冊を含めると28冊)でした。
(下から読んだ順)

『羊をめぐる冒険』(
百年前の日本語 ―― 書きことばが揺れた時代 ――』★
知っておきたい「酒」の世界史』★
海と月の迷路
『スロウハイツの神様』()★
遊びの歴史民俗学
『冷たい校舎の時は止まる』()★
闇の四神 シックスコイン
新・傭兵代理店 復活の進撃
島はぼくらと』★
未来予測 ―ITの次に見える未来、価値観の激変と直感への回帰』☆
エクソフォニー――母語の外へ出る旅
地域を変えるミュージアム - 未来を育む場のデザイン
食べる人類誌 ~ 火の発見からファーストフードの蔓延まで
ソーシャル・イノベーションとしての自然学校
おどろきの中国』★
ひらいて』★
被災地復興で本当にあった忘れてはいけない話
傭兵の岐路
滅びの終曲
対談 日本語を考える』★
獣眼
語り続けろ、届くまで』★
不動心』★
ハンバーガーの歴史

2012年は全31冊だったのでちょっと減りました。
読書の秋2012(その1)
読書の秋2012(その2)

■松井秀喜の心構え
一番印象的だったのはこの本,『不動心』。2012年末に引退を発表した松井の著書です。引退は残念でしたが,次の,指導者への道を期待しています。

不動心 (新潮新書)/新潮社


松井引退への想いはこちらのブログで↓

#55――松井の思い出
http://ameblo.jp/tomihisa18/entry-11437231458.html

■言語・言葉・コミュニケーション
さてさて。2013年全体を振り返ってみます。

前年の2012年は3.11の後ということもあって,コミュニティであったり組織といったテーマの本を読むことが多かったです。
去年はその辺りのテーマを自分なりに考えて,言語・言葉・コミュニケーションをテーマにした本を意識的に読みました。とくに,2月に読んだ『対談 日本語を考える』が考えるきっかけを提供してくれました。

対談 日本語を考える (中公文庫)/中央公論新社


この本は,初版は1979年,対談自体は1975年ごろに行われているので,まさに僕が生まれた当時の,日本語について,学者や識者が語っているというのが新鮮でもあり,また,勉強にもなり。

一方で,今言われているような,「日本は島国で言語が1つだからこそ意思疎通しやすい」,いわゆる今で言う「空気を読む」文化について,異口同音に語られていてへぇーと思いました。

気になった文章をちょっとだけ引用してみます。

- 日本人は自分の住んでいる場所と、それの“そと”との間に、ある線を引いて、自分の周りに“うち”という関係を作るわけですね。
- 日本語がぐずぐずなのか、人がそれをぐずぐずに使っているのかというのは、分けて考える必要があると思う。
- 「言葉は通じる」ものだと安心している点が大いにあると思います。だから、自分から言葉をつき離してこれを眺める、あるいは記述するという態度が従来一般的に行って少なかったんじゃないか。
- 言葉だけでは言い表せないからといって、学生たちは劇画に走るようですけど,映像だって言葉なしには存在できないのですから、これは矛盾している。自己の観念の操作を精密にすることを怠って、すべてを言葉のせいにしているんですね。

最近のソーシャルネットを含めたインターネット,そしてメッセージングツールをはじめとしたコミュニケーションツールの進化と普及によって,言語・言葉というものに対する興味が強くなったことがあって,そことリンクできる内容がたくさん含まれていて勉強になりました。たまたま見つけて読んだのですが,読んでみてすごく良かった本です。

この本をきっかけに,人口10億人を超える中国ではどうなっているのかを知ろうと『おどろきの中国』を読んでみたり,昔の日本語がどうなっていたかが気になって読んでみた『百年前の日本語 ―― 書きことばが揺れた時代 ――』に出会ったりと,昨年は読書を通じて,改めて言語化・非言語,言葉,文字・活字といったことへの意識が強くなり,これからもっともっと勉強したくなっています。

それと『エクソフォニー――母語の外へ出る旅』は,初めて母語と母国語という概念を学ばせてくれた本で,読んで良かったです。

■久々に気になる作家さん登場~辻村深月さん
それと,昨年は久々に気になる作家さんの本と出会いました。第32回吉川英治文学新人賞や第147回直木三十五賞を受賞した辻村深月さんです。

きっかけはオフィス近くにあるhontoカフェでたまたま辻村深月フェアをしていたことで,ちょうど手元に持っていたBookLive! Lideoで購入できたので,そのまま買ってみて。そのときに読んだ『島はぼくらと』の世界観,若者たちを描く人間描写,心理描写,世界観がすごく共感できてハマりました。初めて,宗田理さんの『ぼくらの七日間戦争』に近い印象を受けました。

ただ,全部が全部そうではなくて,『冷たい校舎の時は止まる』()は,ちょっと世界観がわからなかったりもして,それがまたちょっと惹き込まれるポイントだったりもします。今年は他の著書も読んでみたいと思っています。

以下,昨年読んだ本のジャンル分けと割合です。

●割合(ジャンル):全28冊
5 教養(言語・言葉・コミュニケーション)
3 雑学(食関係)
2 ノンフィクション
3 ビジネス(コミュニティ・組織論)
15 小説・文芸

■紙の書籍と電子書籍
2013年の自分にとっての読書は,ジャンルや内容以外で大きな変化のあった年でした。それは,電子書籍による読書が増えたこと。

今の自分の業務が,電子書籍・電子出版の普及,ビジネスの確立でもあるので,電子に関してはとても意識がありますし,日々勉強して取り組んでいます。なので,仕事目線で見てしまうところもありますが,とにかく手元の端末で,すぐに買えるところが便利です。加えて,読んだ本の気になるところをマーキングできるのがいいですねー。

それでもまだまだ去年はコンテンツ数が少なかったのも事実で(感覚値ではありますが),欲しい本を探しても電子化されてなくて残念だったときもありました。その中で,日本のコンテンツ数は最大規模のBookLive! Lideoを主端末として利用していました。これは,Amazon Kindleや楽天Koboに比べると,端末としては野暮ったいですが,コンテンツ数が多いのと,ネットインフラが無料(WiMAX)という点で便利に使っていました。

Lideo

ちなみに,紙と電子の割合は以下のとおり。

●割合(紙・電子):全28冊
15 紙
12 電子(BookLive!,冒頭の一覧で★付)
1 電子(Kindle,冒頭の一覧で☆付)

で,おそらく今年はKindleが増えると思います。とくに,文芸の本であればiPhoneで十分読書しやすいですし,かつ,コンテンツ数が増えてきていて,かつ,ネットが繋がっていればワンクリックで買えるといったところが自分自身のKindle読書を促進していきそうな気がしています。それとともにBookLive! Lideoからは離れそう。こういった感覚は,3年後,5年後に,日本の電子書籍・電子出版を振り返ったときに貴重な経験になりそうなので,ここに綴っておきます。

ちなみに今の段階ですでにKindleで5冊購入してしまい,まだ読んでないですw

本の数については,去年,一昨年と見て,おそらく新規で読む本は2~3冊/月が自分としての無理のないペースでした(たぶんそれほど速くないです)。今年はもうちょっと読む本を増やしていきたいと思っています。

(※ちなみに前述の『ぼくらの七日間戦争』や『シャーロック・ホームズ』シリーズ,大沢在昌さんや渡辺裕之さんの著作などは定期的に読みなおすので,そのあたりをちょっと減らせば新規で読む数が増やせそうかな)