■あれから1年8ヵ月
リドリー・スコット製作総指揮の作品『JAPAN IN A DAY』を観てきました。今日は,2012年11月11日なので,あれからちょうど1年8ヶ月です。



『JAPAN IN A DAY』
http://japan-in-a-day.gaga.ne.jp/

この作品は,2011.3.11――東日本大震災からちょうど1年後の,2012年3月12日に起きた出来事・人々がどう過ごしたのかを映像化したものをつなぎあわせ,1つの映像としてまとめたもの。

今回の作品が生まれた経緯としては,まず1つのプロジェクトがありました。
それは,自分のカメラで,自分の中の「3月11日」(2012年3月11日 0:00~23:59)に起きた出来事を撮影し,それを投稿してもらい,その中からリドリー・スコットをはじめとした製作陣がセレクトしてまとめるというもの。東日本大震災から1年後の日本,日本人,世界,外国人,それぞれがどう思ったのかが綴られています。

ちなみに,僕はその日についてこのようにブログを書いています。

“3月11日”という日
http://ameblo.jp/tomihisa18/entry-11190091131.html

■“絆”“つながり”を可視化
3.11以降,絆やつながりという表現がいろいろなところで目にする機会が増え,僕自身,過剰なんじゃないかというぐらい意識しています。でも,それも震災が生み出した状況でもあるし,僕としては否定することではないと思っています。

今回の映画は,3.11に起きた出来事を撮影し,その投稿作品をまとめているのですが,これは技術的にも心理的にも“絆”“つながり”を可視化し,表現している作品でした。その点で,“絆”や“つながり”という言葉にもやもやしていた自分としては,この映画を通じて,他の人達の考え方や視点を客観的に観ることができたので,もやもやが少し晴れた気がしています。

■3.11に対する気持ち
さて,ストーリーは,朝起きるところの映像から始まり,午前中,昼ごはん,そして,14:46という瞬間,夕飯,夜の団欒,お風呂,睡眠といったところまでを,直接的に被災した方,日常的に過ごしている方,それぞれの過ごした「2012年3月11日」という時間を切り取り,震災・津波に対する想い,原発への憤り,家族・友人への悼みといった,3.11に対するさまざまな気持ちが込められた形で時系列に編集されていました。

被災された方にとっての3.11というのは,当事者でなければわからないものだと思います。
そういった状況の中,今もマスメディアや各種ネット,あるいはイベントなどで復興支援に関する内容は取り上げられているのですが,日をおうごとにその絶対量は少なくなっているように思っています。数が多いことが正しいとは思いませんが,それでも,こういう形でまとめられたことによって人の意識は高まると思いますし,自分自身改めて考えなおすことができました。
まずは,風化させずに忘れてはいけない,と。

■想いの記憶を記録する
最後に。

一番印象的だった映像は,震災直前に娘さんが生まれて,その約1時間後には救済活動を始めていたという男性からのメッセージ。

「あの瞬間の1時間ちょっと前に僕は一人の娘の親になりました。その直後に,まさか自分が,あれだけのひどい状況の中で救済活動しているなんて想像することもなく。
今でもそのときの出来事で忘れられないのが,救済活動をしている中で,7~8歳の1人の少女が津波に流されていくのをただ見ているだけで助けることができなかったこと。本当にどうしようもないけれど,とにかく辛かった。今でも辛いです。
これだけはどうしても伝えたかったんです。」
(※要約です)

2011年3月11日の東日本大震災が,辛く悲しい出来事でもあり,事実でもあること――『JAPAN IN A DAY』は,その“想いの記憶”が記録された映画でした。

物質的な復興だけではなく,気持ち的な面の復興も願って。

遺体―震災、津波の果てに/石井 光太