10月も終わりが近づき,秋まっただ中です。
秋といえば,食欲の秋,読書の秋,旅行の秋……などなど。

僕は今年,自分の興味のあるジャンルを中心に初めて読む本を30冊ほど読んできました。そこで,読書の秋でもありますし,今回から2回にわたって今年読んだ本の感想や思ったことなどをつらつらと書いてみます。

まずは今年1月~6月までに読んだ本リスト。

EARTHLING -地球人として生きるためのガイドブック
知的生産の技術
闇の縁者~シックスコイン
河北新報のいちばん長い日 震災下の地元紙
ソーシャルデザイン―社会をつくるグッドアイデア集
鮫島の貌
地域を変えるデザイン―コミュニティが元気になる30のアイデア
傭兵代理店 殺戮の残香
2時間でおさらいできる世界史
ユーザエクスペリエンスのためのストーリーテリング~よりよいデザインを生み出すストーリーの作り方と伝え方
つくること、つくらないこと~町を面白くする11人の会話
プロ野球歴代「助っ人外国人」1000人
政界汚染
サイバーテロ漂流少女
人を助けるすんごい仕組み――ボランティア経験のない僕が、日本最大級の支援組織をどうつくったのか
アウトプットのスイッチ

ビジネス・教養からドキュメンタリー,レポート,文芸・フィクションまで,新規購入で16冊(2.6冊/月)読みました。とくに2012年前半はコミュニティ・プロジェクトをテーマにしたものを意識的に読んだように思います。

そのきっかけは,やはり去年の東日本大震災。あの出来事以降,コミュニティとかチームとかプロジェクト,人との関わり方について,自分の中で強く考えるようになったからです。WebSig24/7やTechLIONへの関わり方にもすごく影響を受けたと感じています。

と前置きが長くなりましたが,その観点から,7冊ほど選んで感想を書いてみます。



EARTHLING -地球人として生きるためのガイドブック

昨年のイベントのサマリをまとめた本。
内容は,宇宙,深海,地球,社会,生活,未来などについて取り上げられています。
1つ1つのセッションやプロジェクト,たくさんの人の考え方を知るきっかけになりました。

全体を通し,とくに日本は昨年の3.11の悲しく重い経験を受けてどうするか,未来についてどう行動するかというところとつながっていると思うのですが,その中でも,中須賀真一教授の小型衛星の話や,石川直樹さんの新しい地図,面白いって思う感覚などが印象的でした。

地球人という表現がすごく良いなと思った一冊です。



知的生産の技術

梅棹忠夫さんの良著。情報という観点から,知的生産について解説されています。これがもう40年以上も前にまとめられていたというのがすごいなと思いました。

この本を読む直前にウメサオタダオ展に行ったことで,考え方を想像するだけではなく,実際に見て触れられたことが良かったです。情報の整理の仕方はこの先どうなるのか,この本に書かれている内容は,それを考えるときの1つの判断基準になると思います。



河北新報のいちばん長い日 震災下の地元紙

3.11直後の,河北新報の社員・関係者たちの行動をもとにまとめられた一冊。
新聞を作るということ,情報を届けるということ,何より,東日本大震災をすぐ近くで体験し,その後に当事者として何を考えどう行動したのかが鮮明にまとめられています。

“新聞”というメディアに込められているものについて,自分の知識として消費するだけではなく,想いを汲み取りたいと思える本でした。



つくること、つくらないこと~町を面白くする11人の会話

ランドスケープアーキテクト長谷川さんと,コミュニティデザインを手がける山崎さん2人がオーガナイザーとなり,9名のゲストと,それぞれ鼎談を行いながら,街づくり,空間づくりなどについて話していくもの。

海外と日本の公園の位置付けの違いとか,ロングライフデザインについて,居方とは何か,Improv Everywhereのパフォーマンス,働き方のデザイン,農村型コミュニティと都市型コミュニティなどなど。

どれもすごく気になるトピックで,この先の人生で1つ1つできる限り深掘りしてみたいです。

この本がきっかけで山崎さんとFacebookでやりとりでき,いつかお会いしてじっくりお話してみたいと思います。



サイバーテロ漂流少女

これはフィクションであり,また,コミュニティとかとはちょっと違うかなとも思われがちですが,今流行のソーシャルネット,そのベースとなるインターネットセキュリティ・情報化社会について,すごく熟れた内容で書かれているのが特徴の本です。しかも登場人物は,架空の人とは言いつつも,実際にいる,しかも知り合いをモチーフにしているんじゃないかと思わせるあたりに,ニヤっとしちゃう本でした。

専門性がある一方で読みやすい本なので,業界の人だけではなく,ソーシャルネットを使う人にオススメしたい本です。



人を助けるすんごい仕組み――ボランティア経験のない僕が、日本最大級の支援組織をどうつくったのか

タイトルの通り,東日本大震災からの復興に向けて,執筆者の西條さんがボランティア活動,ボランティア組織を作っていくさまを,ときに日記っぽく,ときに解説だてて紹介している書籍です。

復興支援という大きなテーマではありながらも,組織論,コミュニティ論に関するノウハウが盛り込まれていて,かなり勉強になりました。
中でも,西條さんが取り組まれている構造構成主義の考え方,状況と目的を明確に,的確に捉えるということの大事さを学ぶことができました。

すごく良かったです。



アウトプットのスイッチ

水野さんの本。こういうビジネス書って実は敬遠していたところもあり,もともと読もうと思ったのも,ジャケ買い,というか,Amazonレコメンドに出てきたことがきっかけでした。ただ,読み終わってみて,手にとって良かったなと。

- 意識的なアウトプットと無意識のアウトプット
- ブランドづくり
- ポジティブ分類,~っぽい分類
- シズル感
- シズルを活かす舞台づくり
- 業界内常識,企業文化,経験知のタガを外す
- 愛してもいいけど,溺れてはダメ
- 散らかすことによる情報の整理
- いる/いらないの分類
- 仕事がしてある/してないという表現
- 発生的なアプローチ
- アウトプットは次のインプット

こういった部分を実例とともにまとめていて,視野を広げる,物事を俯瞰することに役立つ本だと思いました。

あと,印象的だったのが

「アウトプットを正確に理解するために,言葉を信じないようにする」
「考えるというのは,人に伝える,すなわちアウトプットするとこまでして“完了”する」

というフレーズです。



以上です。