先日7/6,電子書籍を考える出版社の会(eBP)の分科会が開催されました.

ゲストにグーグル佐藤さん,坂内さんをお迎えし,
「Googleブックス&Googleエディション」に関してご説明いただきました.

http://ebookpub.jp/archives/157

大枠のストーリーとしては,

1.出版社とGoogleの間でパートナープログラムを結び,
2.その内容に基づき,Googleブックスとして展開する
3.その次の展開として,Googleエディションを利用した販売を行う(今冬から)

というもの.現時点では,まだGoogleブックスのみの展開で,Googleエディションは今冬(早ければ年内,遅くとも冬のシーズン中に)からスタートするそうです.

Googleブックスは,ユーザの検索ワードに応じて該当書籍の内容を,1ヵ月の間に最大20%無償で閲覧できるようにするものです.ちかいものでは,Amazonのなか見!検索がありますね.

Googleブックスに関して,パートナープログラム締結後の具体的なフローは,該当書籍(現物)とそのリストをGoogle側に送る形で,その後の電子化(Web化)はGoogle側で行ってくれるとのこと.スキャン時間は最大でも6週間程度.

面白いと感じたのが,検索ワードによって読める内容が異なる点.編集スキルとして必要かどうかの判断は難しいですが,今後電子出版の需要が高まったとき,こういう検索に対して響きやすい編集・構成というのも求められるんじゃないかと思いました.
(電子出版時代の編集スキルについては改めて書きたいですが,紙のデザインではない情報設計の考え方やXMLなど文書構造に関する技術的スキルが求められてくるんじゃないかと思ってます)

ちなみに,GoogleブックスではSEO施策(メタタグ埋め込みや被リンク)などは効かないとのこと.残念w でも,実際のプロモーションとして考えたとき,この部分は気になりますね.
(Googleさん,また教えてください)

その他,パートナープログラムの契約については,ある程度のボリュームで結んだほうがあったほうが,出版社側のメリットが大きくなるとのことでした.

ちなみに,アメリカでの実績によると,パートナープログラムを結んでGoogleブックスに登録した書籍の売上が伸びているそうです(まあ,そう言いますよねw).


で,出版社の立場としては,

・契約関係(執筆者および著作権者)をクリアにする
・既存流通との関係調整・整備

をきちんと行えば,メリットがあるんじゃないかと.
補足として,Googleブックスに関してはAPIが用意されているので,自前のWebサイトに盛りこんで,検索結果として表示させることも可能だそうです.

http://code.google.com/intl/ja/apis/books/

とくにAPI発行数の制限もないので,Webサービスの開発をされる方にはけっこう面白いツールかもしれませんね.

(まとめ)
OCRの制度や画像品質,組版イメージなどの品質問題,具体的なプロモーションに関する問題,契約問題など,いざすすめるとなれば出版社ごとに直面する現実問題は出てくると思いますが,「Google」という一大プラットフォームが参入してきてくれることは,出版業界(とくにコンテンツを出す自分たち)にとっては,大きなメリットがあるんじゃないかと思っています.

あ,そうそう.Googleエディションに関して,購入する方はGoogle Checkoutを利用した支払いができるそうなので,通常のクレジット決済等が使えるとのこと.これも,個人的にポイント高いです:-)

http://checkout.google.com/

またの機会に書きたいと思いますが,電子出版の障壁の1つが課金システムだと思ってるので.