会社飲み会の帰り道でのこと

とはいえ、


自宅に帰るはずもなく元気に職場に舞い戻ろうとし

最寄り駅の改札を出て、階段を下りたところで


事件は起きていた


会議室じゃなくて、現場じゃなくて、歩道で起きていた


いや、起きてない

寝てた


いや、死んでた

うん、始めそう思った



歩道を出たところにばったりと人が倒れていた

目をカッと見開いて、こっち向いて倒れてた

超俺を見てた

微動だにせず、見てた


けっこうな人通りがあるのに、


その人に注目はすれど過ぎ去る人たちばかりなのは

きっと日本がさびしい国なんじゃなくて、終電が近かったからだ!


優しい俺はそう考えることとする!



で、足下の屍を見る



し、死んでんじゃね?

それともただの酔っ払いか?


もしくは…


建築関係のお仕事でこの辺の床は僕が造りました!!


みたいなことか


大地とすごくすごく仲が良くて、抱きしめたい!!


みたいなことか


遠く地球の裏側に遠距離恋愛中のブラジルにいる彼女が恋しくなって

聞き耳を立ててみているとか


ともかく、


歩道に突っ伏さないといけないようなのっぴきならない事情が彼にはあるのか



いや、ないのか?

ただただ、この世との別れか?




警察か、救急車か、もっと近くの駅員か


まず突っついてみるか?


つんつくつん

つんつくつん


うほほーーーい
※あほか



でもさ、


「ふんがーーー!」


とか急に起き上がってきたらいやだし、

なんだったら関わりたくない気持ちの方が強いし


とりあえず、埋めてみようかしら?


ちょっと生きてても、埋まったらひっそり息を引き取るだろうし


酔っ払ってたなら、


「こんな恥ずかしい格好、穴があったら入りたい」


って心境になるだろうし


二つの意味で、埋めてあげるのはいいことかしら?


掘る?


でれなくなるような落とし穴を、掘りますか?




などと、首をひねって考えあぐねているときに

ふと見ると、同じ格好で考えあぐねるスーツ姿のサラリーマンがいた


ペコリ


目が合ったので、軽く会釈


同時に、会釈返し


ああ、この人もきっと同じ事考えてたんだ!
※ちがうぞ、絶対


突こうか蹴ろうか、埋めようか、


友達装って、ちかくの公園まで連れて行って、

意識ないことをいいことに身包みはがして見捨てようか考えてたんだ!
※おい!


人目もあるので、身包みはがす前に声をかけることにした二人


目が合ったので、同時にかける事に


大丈夫ですかー?


いろんな意味で、

頭も身体も大丈夫な人がこんなところで突っ伏してるわけはないのだが


「無反応ですね。これはもしかして…」


死んでんじゃね?

いや、瀕死?

瀕死なの?


だったら、俺たちにできる唯一のこと


とうとう出るか、あのアイテム!



パッパカパーパー

パーンーパーンーパーン~♪


えぇ~いぃ~でぃぃ~

AED…そう、街で見かけるオレンジと紺の鞄のあいつである

頑丈な扉にしっかり護られたあいつである

『緊急時以外使用禁止』のアレである


今緊急時だよね?


使っていいんだよね?


開くにすると、警報機なるんだよね?

どんな警報か聞きたいよねー!?



っていうか、使い方わかんないけどね!

このへんのAEDはどこだーー!?


「俺、交番行って来ます!」


サラリーマンはすくと立ち上がり、軽やかに走って行った


えーーー!?


俺に、人生初のAEDを使わせてくれないのかよ


ばちばちぃってやりたかったのにぃ!!
※心臓にショックを与える何らかがはいってると思っている



お前、行動派だな!

だったら俺は、妄想派だよ、こんちきしょー!?


ということで

しばらくして彼に誘導されてお巡りさんがやってきた


ひぃ!

ちょっと身がすくむのは、普段から警察に慣れてないからだ
※あたりまえ


「あなた、大丈夫ですか? ねぇ!」


そんなに強くしていいの?というくらい

がつがつと揺り動かして、お巡りさんは倒れている人を起こそうとする


脳に、脳に異常があったらどうするんだろう?


心配になったがそしたらこの警察官が殺したことになるから俺のせいではないか



っていうか、とっくに死んでたらどうしようか?


死人に見つめられちゃったな~


親指かくしてなかったなー

※なんかいろいろ間違っている



そして、数分揺り動かしたところで


屍はザオラルの呪文で生き返った



しかし彼のHPは2くらいである


いまだふらふらと、もうろうと、今の状況がわからないようで


警官の言葉にもふわりとぼーとしている



とにかく…俺のAED計画は幕を閉じ…んじゃなくて!


生きててよかったー



じゃ、あとはお若い二人(←警官と屍)にまかせて


年寄りは退散しましょうかね



と、歩き出すと…



「いやー、よかったですねー」



目があったサラリーマンが同じ方向だったようで話しかけてきた



そ、そうですね



俺の心情、こいつ知らず



しかし、彼が走らなかったら俺は警察には行かなかったので


その行動は評価に値するよ



「もう大丈夫っすよね」



たぶんねー


あれ? そういえばあなたはこれから会社ですか?



「そうなんですよ。飲み会終わりなんですけどね、資料がまだで」



ほうほう、似た境遇



「だから、帰るくらいなら会社で資料作っちゃおうかなーって」



ほうほう、同志!



「でもー、なんか酔いも覚めちゃいますよね、あーゆーの見ると」



そうそう、同意見!




というわけで、なんかしらんが意気投合した二人は


そのまま一杯ひっかけに近くの居酒屋に入る



二人ともこれから会社に戻って資料作成だが、


そんなことは気にするか!



飲むことになり


解散したのは三時すぎ



なぜか連絡先を交換し、無駄にもう一回飲み会の約束をまとめてしまう俺



人見知りさんなのにー


人見知りさんなのにー




ところで



このブログでも書いたと思うけど


ひょんなことから隣になって


第一印象



なんだ、こいつ?



で、結局その日のうちに酒を酌み交わしているこのパターン…




親友?


親友フラグたった?



屍がつないだ間柄である

※死んでないよ!