仕事仲間と駅までの道のりを歩いている最中のこと
「コロッケ食べたい」
お昼も近づいていたので、その匂いにつられたのか
そんなことを言い出すやつ
…重たいなぁ…
付き合おうかとも思ったんだけども
俺はいいやぁ
「そう?」
そそくさと小さなお店に駆け寄っていった彼は
店頭でこっちまで聞こえるほどの声で
「カレーコロッケ一個ね」
と店員に告げていた
小さな紙袋に包まれた食べやすい大きさの手軽なおやつ感覚コロッケ
「いただきまーす」
ソースをかけて食べ始めた彼
寒い時期の小腹がすいた胃にはちょうどいいよね
あつあつでほくほくで
手軽で安くて
片手にビールが持てるのであれば、付き合ってました
しかしいかんせん時間は昼前
空はまだ明るいし
ダメ人間が周りからもわかるのはちょっといやだなと
控えてみたわけだ
「うまかった?」
ものの数秒で、コロッケは彼の胃に消えた
「まあ、こんな味だよね」
それほどの期待値はなかったんだろうけど
どうやら無難な味だったようだ
駅に着き
電車に乗る
しばらく経つと
彼は深刻な顔で俺に問いを投げかけた
「あのさ、俺…カレー頼まなかったっけ?」
お?
何の話だ?
「さっきのコロッケ。カレーコロッケ頼んだ気がする」
頼んでたよ
カレーコロッケ一個60円
買ってたんじゃん
食ったじゃん
おじいちゃん、さっきご飯食べたでしょ?
メガネはかけてるわよ
「さっきのあれ、かぼちゃコロッケだった」
ええええ?
そこは気付こうよ
なんで今言った!?
お前、店の前で一口食ったじゃん
そんとき言えよ
「だって黄色かったから」
いやいや、確かにカレーコロッケもかぼちゃコロッケも黄色だけども
だからって何でもかんでも色で味がわかるなよ
おまえ、イチゴ食って色がわかる人か?
イチゴあかーい
匂いだって違ったはずだ
カレーほどのやつが匂いを発しないわけないじゃないか
「からっと揚げられた油分がカレーのにおいを凌駕していたよ」
油の匂いしかしなかったんだな…
におったのかどうかもあやしいもんだ
そもそもカレーとかぼちゃじゃ味が根本的に違うだろう?
片や甘口、片や辛口だぞ
味で気付こうよ
「ソースの味しかしなかった…」
この味オンチ!
もうお前においしい店なんか教えてやんない!
「あー! なんかカレー脳だったのに、違うコロッケ食べたせいで満たされない!」
確かにカレー脳はあるよな
一度食べたいと思ったらなぜか食べないと満足できないカレーという魅惑の料理
「しかも俺、あんまりかぼちゃ好きじゃないのに!」
それはただ単にお前が味覚障害だったという理由だから
人を責めるな
「お昼、食べようぜ。カレーな」
えー
…重たいなぁ…
しょうがないから、黒い人が大好きなエビカレーのお店に連れていく
辛みが強いけども、エビから出たコクがマイルドになって
とても後を引く味のお店だ
もちろん俺はエビカレーの大辛口で
※↑辛党
ご飯はいらないので、ゆでたキャベツをください
※いまだ炭水化物をとらない生活中
「じゃ、俺ねー。タンドリーチキンのセット!」
…どこいった、カレー脳!
「あ、セットのスープ選べるんですか? じゃあ、パンプキンスープで」
…てめ…
かるーく殺意の芽生えた、ランチの食卓☆