少し前のこと


仕事で三重に行かなければならなくなった

というか、俺じゃなくて誰でもいいけど、四日市市にいってこいとなった

出張、基本お断り体制なので聞かないフリをしていたけど

なんとなく気になる食べものが出てきた


トンテキ


調べれば調べるほど、気になる、

グローブ型のぶ厚いポークステーキ


なるほど、四日市名物なのか

これは食べてみたい


ということで、せっかく行くなら会社の金でって感じで出張決めた
※おい



食べてみてわかったが、
トンテキ、とてつもなく懐かしかった


いいえ、別に三重出身ではありません


なんでだろう、

ずっとこのソースとラードの絡んだ味に記憶があった


むかしどっかのお店で食べたのだろうか


いっしょにいったマイマザーも


「なんか懐かしいよねー」


と絶賛していた


お前も?

しかし家では食べない味
※マイマザーはソース味が嫌い



そしてこのたび、何が懐かしかったのかが判明した



ミルキーがママの味なら

ウスターはマイグランパの味


トンテキはまさにグランパの味なのだ



俺にテーブルマナーを教えてくれたグランパ


ご家庭でフォークを使うのなんて

スパゲティミートソースくらいだろう世代の俺


箸の使い方も茶碗の持ち方も

全部グランパに怒られながら教え込まれたが

ナイフとフォークの使い方も同様



普通なら使わない年代なのだろうが

家のグランパは3日に一度は箸を使わないメニューを食べていた


それがステーキだ

こちら、豪華なわけではなく

トンカツ用の豚肉に塩胡椒をかけて

ただ焼いたという粗末なもの


ソースは皿の上でかけるウスターソース


付け合わせはキャベツの千切りである


つまり、トンテキ!



別に裕福でもなかった家で、

なんでこのメニューだったのか


大人になるとその意図が分かる



グランパは肉が好きだった

対して、

グランマは料理が不得意なうえ、極度の面倒くさがり

専業主婦歴何十周年のくせに…



焼き肉や生姜焼きなど

料理にバラエティーを加えるには

いささか発想が貧困だったグランマ



どこかでポークステーキという

塩胡椒だけで焼いた料理を知ったんだろう

多分、テレビだろ?

ちゃんと筋切りしてたし



トンカツ肉買ってきて、
衣もいらない

しかも揚げなくていい


料理としては楽


それで肉好きの夫は喜んでいる


妻としては万々歳である


しかし野菜が足りない気がする

あ、キャベツでいいか!
キャベツの千切りがのる

片付けも楽



グランパ的には味に物足りなさを感じた

とくに、キャベツの部分


トンカツのようにウスターソースかけたら

キャベツ食べやすくなった


あ、ステーキにもあうわ

そんな、素敵な夫婦関係からできたメニュー

うっすらトンテキステーキ


3日に一度なのは

トンカツ肉の二枚パックを買うから

保存限界のタイミング


悪くならないうちにもう一回

冷凍とかをしない家だった…


そんな記憶が蘇ったのは

近々また四日市市へ行く予定が入ったから

もうトンテキは食べたのに…
※仕事だ!




東北の人間が全く知らない道の料理って

やはり南北に長い日本には多いだろう



トンテキなんて一度も食べたことのなかった夫婦が

偶然作り上げた似た味

未知のはずなのに懐かしい


そういうのがあるから、旅って楽しい

旅好きの醍醐味を思い出す


しょうがないか、出張いくかー!
※だから仕事だってば