黒い人、実はビーラーである
別に野菜の皮むき機じゃないし
まつげを上げるわけでもなくて
ビールが大好き
beerにerで、ビーラー
仲間内でビール飲みといえば名前があがる
俺とあと一人
この二人には根本的に違いがある
俺はビール好きだからビーラー
あっちはビールしか飲めないビーラー
さて、ビーラーにとって一番すてきな季節がやってきた
夏のビールは特に美味しい
この一杯のために仕事してるなってこと、多し
「実はビールを止めようと思ってる」
今年初ビアガーデンにて、
あいつが唐揚げ食いながら言い出した
なんで?
「ベルトがさ~」
どうやらビールっ腹が気になるらしい
確かにステキな厚みでございますなあ
何ヶ月目でいらっしゃるやら
「とりあえず最近、ウーロンハイにしてるんだ」
ソーセージかじりながら、あいつがいう
止めはしないのか、禁酒かと思ったぞ
でも、今までビールしか飲まなかったやつからしたら、すごいことだよな
「すぐには無理だろうから、少しずつ、ビールっ腹を凹ませる努力を」
焼きそば片手に、あいつは言った
好きなものを断つ勇気、大事だね
そういうの考える歳になってるしな~
俺もな~
野菜スティックをポリポリしながら
自分におきかえてみる
「そうだろ? あ、すみません。じゃがバター追加で。お前は?」
あ、ビールのおかわり、いいかな?
遠慮がちに追加注文
「気にすんな~。あ、焼おにぎりもお願いします。しかしさ~、同じように飲んでるのにな~」
なんだよ、俺の腹を見るな!
…たしかに飲んでる量は変わらんな~
「体質かな」
最後の餃子は、やりきれない思いを抱えた彼の口の中へ
俺はソーセージの盛り合わせについてた
ピクルスをつまみながら、彼の努力を応援する事に決めた
ところで、いつ言えば良いだろう
お前の腹にたまっているのは麦芽ではなく油分だと
この夏、彼の間違った闘いはすでに始まっている…