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伊方原発とめまっしょい☆若者連合のブログ

私たちは、伊方原発の再稼働に反対することを一致点とする若者のネットワークです。私たちのよびかける行動には、若者に限らずどなたでも参加できます。

 
2020年11月20日(金)(愛媛新聞)
 
 九州電力は、鹿児島県の川内原発で、テロ対策の「特定重大事故等対処施設」(特重施設)を全国で初めて整備した。施設の完成遅れのため停止していた1号機の原子炉を起動し、12月には営業運転に移行する。
 特重施設の完成で、東京電力福島第1原発事故を踏まえた新規制基準の要件は満たしたことになる。しかし、テロ対策は非公表の部分が多く、適切に対応できるかどうか未知数だ。従来の重大事故対策に関しても住民の不安は根強い。国や電力会社は、現状に満足することなく安全対策を不断に見直し、情報公開に努める必要がある。
 新規制基準で設置が義務付けられた特重施設は、原子炉建屋に意図的に航空機を衝突させるようなテロ行為を受けた場合でも核燃料の冷却を継続できるようにするためのバックアップ施設。原子炉建屋から100メートル以上離れた場所に、遠隔操作で原子炉を冷却する緊急時制御室や注水ポンプを備える。
 原発の運転の中枢である中央制御室などの安全設備を、外部にもう一つ設置するのに等しい重要施設だが、テロを防ぐためなどとして、詳細な場所や構造は非公表となっている。施設をどのように運用し、どういった人員で対応に当たるかといった情報はベールに包まれている。
 専門家の中には「日本はテロ攻撃を現実的に捉えていない」と指摘する人もいる。米国では原発の運営会社が武装した警備部隊を雇い、規制当局が部隊の警備能力や身元などまで確認しているという。テロ対策は施設を整備しただけでは不十分であり、日本で対処できる体制が整っているか、疑問が拭えない。
 公表される情報が限られ、第三者による安全性や実効性の検証が難しい現状では、国や電力会社が負う責任が極めて重い。住民の不安に応えるよう、電力会社はできる限り丁寧な説明に努め、国は安全対策の妥当性について厳しくチェックしなければならない。
 川内1号機に追随する全国の原発の動きも注視したい。特重施設は、新規制基準で原発本体の工事計画の認可から5年以内に設置する規定だったが、期限に間に合わない原発の停止が相次いでいる。
 四国電力伊方原発でも、来年3月の設置期限から遅れる見通しだ。当初は1年程度の完成遅れを見込んでいたが、四電は工期を約5カ月短縮できるとしている。稼働を急ぎたいのだろうが、働く人の安全や工事の品質管理をおろそかにすることがあってはならず、国による監視が欠かせない。
 特重施設の整備費用は、川内原発が約2420億円。伊方原発が750億円の見込みで、当初より膨らんでいる。国はエネルギー基本計画の見直しに着手したが、政策の行き詰まりなど情勢が変わる中、原発が巨費を投じるに見合う将来性ある電源かどうかといった視点でも、議論を深めなければならない。