北海道ブラックアウト 早期の原因究明と再発防止策を (愛媛新聞社説) | 伊方原発とめまっしょい☆若者連合のブログ

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2018年9月22日(土)

https://www.ehime-np.co.jp/article/news201809220008?sns=1

 

 震度7の地震により全域停電(ブラックアウト)に陥った北海道は、北海道電力苫東厚真火力発電所1号機が復旧し、電力の安定供給にひとまずめどが立った。暖房使用が増える冬の需要増に向け、当面は残る2、4号機の再稼働を優先して進める必要がある。

 ブラックアウトに至った原因については、電力技術の専門家らによる第三者委員会の検証が本格化する。ブラックアウトがほかの地域でも起きる危険性はある。非常時にも切れ目なく電力を供給し続けられるよう、復旧手順や電力融通の体制などを見直し、再発防止策を急がなければならない。

 北海道の地震では、震源地の近くにあった苫東厚真発電所が被災。道内の電力の約半分を賄っていたため、需要と供給のバランスが崩れ、ドミノ倒しにほかの発電所も止まった。

 供給が追いつかず、国は数値目標を掲げて節電要請を続けていた。水力発電所や苫東厚真1号機の再稼働によって、この時期の最大需要を超える供給力を確保した。地震発生から約2週間。停電が道内の市民生活や農林水産業、観光業に残した爪痕を、国や電力会社は重く受け止めなければならない。

 北国では、冬に電力需要が拡大する。道路や屋根の雪を溶かすほか、水道管や鉄道の凍結防止といった生活インフラに欠かせない。現在は水力発電が主力だが、水源が凍るケースもあり油断できない。苫東厚真2号機は当初の予定より早く来週にも再稼働する見通し。最大出力の4号機は11月以降を見込む。需要がピークを迎える前に、地震前の供給体制に戻すことが肝要だ。

 ブラックアウトの原因を検証する委員会では、停電に至るまでのデータを詳しく調べる。北海道電は地震発生後、3回強制停電し、需給バランスを保とうと試みたが、最終的にブラックアウトを回避できなかった。国は人為ミスを否定しているが、操作や技術的な観点から不備がなかったか点検することが欠かせない。

 北海道電は、本州とつながる60万㌗の北本連系線に加え、青函トンネルを活用し、30万㌗の送電ルートを現在整備中。非常時に他電力と融通し合う体制の強化が一層求められる。火力発電所の耐震性についても、多額の費用がかかることから抜本的な見直しが実現していなかったが、苫東厚真発電所では配管が損傷するなどしており、議論を再開する必要があろう。

 再稼働が進まない原発の穴埋めとして火力発電への依存が進んだが、災害時のリスク分散を理由に泊原発などの再稼働を急ぐのは問題だ。原発に頼らず、再生可能エネルギーを最大限普及させることこそ重要だ。蓄電など、需給バランスにとらわれない技術の開発も進めたい。ブラックアウトを踏まえて国にはエネルギー政策の抜本的な見直しを求めたい。