2018年8月30日(木)(愛媛新聞)
https://www.ehime-np.co.jp/article/news201808300017?sns=1
「冷房をためらわず使ってください」。テレビなどで聞くこのフレーズが、すっかり定着した夏だった。命にかかわる暑さの中、当然の呼び掛けと納得しつつも、気になったのは電力が足りているか。四国電力伊方原発は停止したままだ▲
四電に尋ねると、「電力供給に問題はない」とのこと。主な要因は「太陽光発電の普及」。電力需要が最も多い昼の時間帯が太陽光の発電量のピークと重なり、大きな戦力となっている▲
四電に接続や契約申し込みをした太陽光発電設備は、7月末時点で313万㌗。伊方3号機の約3・5基分に相当する。太陽の動きに左右されるため出力は変動するが、電力需要の少ない5月には、太陽光を含む再生可能エネルギーだけで電力を賄えた時間帯もあったという▲
ただ、太陽光発電は過渡期にある。住宅用では、電力会社に電気を高く買い取ってもらえる期限が切れて、価格が大幅に下がる世帯が増える見通し。設備の維持が難しくなったり、新たな導入に二の足を踏んだりしないか心配▲
大規模太陽光発電所では、環境影響評価(アセスメント)を義務付ける動きがある。生活や自然の環境を守るのは当然だが、普及が滞る可能性がある▲
再生エネ拡大の原動力は、東京電力福島第1原発事故を経験した、国民の意識の変化にある。一つずつ課題を乗り越え、原発がなくても電力を供給できる恒常的な仕組みをつくりたい。今が正念場だ。