四国電力 原発停止中も供給安定 節電意識定着寄与
愛媛新聞 2016年8月17日
伊方原発全基停止以降の四国電力管内の夏(7~8月)の電力使用率
60~69% | 70~79% | 80~89% | 90~94% | 95%以上 | |
2012年 | 0日 | 5日 | 36日 | 0日 | 0日 |
2013年 | 1日 | 1日 | 25日 | 13日 | 1日 |
2014年 | 0日 | 4日 | 31日 | 5日 | 0日 |
2015年 | 0日 | 4日 | 28日 | 9日 | 0日 |
2016年 | 0日 | 3日 | 17日 | 8日 | 1日 |
※平日のみ。2016年は伊方原発3号機が再稼働した8月12日まで。
四国電力伊方原発3号機(伊方町、出力89万キロワット)は15日に発送電を開始し、家庭や企業へ原発の電気が届き始めた。2012年1月の伊方原発全3基停止から約4年7カ月間。記録的な猛暑の夏もあったが、消費者の節電意識の定着などにより、原発なしでも電力不足に陥ることはなかった。
伊方3号機が予定通り22日にフル稼働すれば、四電は今夏の需給見通しを見直す。老朽化した阿南火力発電所2号機(徳島県、22万キロワット)を停止するが、電力供給の余力を示す予備率は8月で当初の5.8%から18.1%に上昇する見通し。安定供給に最低限必要とされる3%を大幅に上回る。
四電によると、全基停止以降の夏と冬(平日)の電力需給状況で、使用率(供給力に対する需要の比率)97%超の「非常に厳しい」は2012年2月2日の1日のみ。95%以上の「厳しい」は2013年8月22日、2016年7月4日の2日間にとどまった。
記録的な猛暑だった13年夏の最大需要は549万キロワット(8月22日)で、同じく猛暑だった伊方原発稼働中の10年夏の最大需要544万キロワットを超えたが安定供給できた。
政府が四電管内の家庭や企業に数値目標を掲げた節電要請をしたのは2012年夏のみ。2010年夏を基に5~7%以上の節電を要請し、管内では8%以上を達成。その後も節電意識は定着し、2015年夏の節電実績は44万キロワットと、西条火力発電所1、2号機の出力計40.6万キロワットよりも大きくなった。
四電は供給対策として、火力発電所の定期検査繰り延べや増出力運転を実施。企業の自家発電からの買電なども行った。加えて2012年に始まった再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の影響で太陽光発電が普及し、2016年夏の需給見通しでは前年比8万キロワット増の55万キロワットを織り込むなど、供給力の一定の戦力となった。
需要面では節電の定着のほか、電気料金の安い特定規模電気事業者(新電力)に契約を切り替えるなどした利用者の増加も管内の需要減につながった。
四電は原発なしで安定供給できた点について「運転開始から40年以上の火力発電所が高稼働しており、正常な状態ではなかった。卜ラブル発生のリスクは潜在的に高まっており、伊方原発の再稼働なしでは安定供給は難しい」との見方を示している。