愛媛新聞2016年4月5日
四国電力は4月4日、2015年度冬季(15年12月~16年3月)の電力需給実績を発表した。供給力に占める需要の割合を示す使用率はほぼ80%台で推移。節電や火力発電所の定期検査の繰り延べなどにより安定供給を確保できたとしている。
伊方原発(伊方町)が全3基停止した状態で迎えた4回目の冬。平日のうち、使用率が「やや厳しい需給状況」の90%以上だったのは5日間。記録的な寒波に見舞われた1月13、25、26日がそれぞれ90%で、予測よりも気温が上がらなかった3月1日が90%、4日が最大の91%だった。
最大需要は1月19日の481万1千キロワット(使用率89%)。この10年間で12年度の477万3千キロワット、06年度の480万9千キロワットに次いで少なかった。
節電効果は、厳冬だった10年度と比較し31万キロワットと推定。内訳は産業用8万キロワット、業務用9万キロワット、家庭用14万キロワットで14年度から計2万キロワット上積みしている。
四電は7月下旬の伊方原発3号機の再稼働を目指している。夏の需要のピークに間に合わせたいとしつつ「スケジュールありきではなく一日も早い再稼働を目指す」としている。
(阪和舞)
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
顧客離れで需給安定 関電、節電期間乗り切る
関西電力は、政府が要請した2015年度の「冬の節電期間」を3月末で混乱なく乗り切った。暖冬による需要減や、家庭などの節電定着で電力需給が安定して推移したためだ。加えて昨春の電気料金再値上げ以降、多くの大口顧客が新規参入電力会社(新電力)に契約転換し、関電の利用が縮小した影響も大きい。
節電期間が始まった15年12月1日から今年3月23日までの午後6~7時の関電の電力需要は、10年度に比べ平均約14%、約310万キロワット減少した。
3月末までに、供給力に対する需要の比率を表す使用率が「やや厳しい」とされる90%以上となったのは3月1日だけだった。3月は供給力を2月までより低めに設定したが、1日は最高気温があまり上がらず、暖房需要などが膨らんだ。
期間中の最大需要は1月25日の2291万キロワットで、前年度のピーク(14年12月17日の2484万キロワット)を大きく下回った。企業や自治体などが相次ぎ割安な新電力へ流出したのが背景とみられる。
今月1日には電力小売りが全面自由化。新規参入した大阪ガスは、家庭向け電力契約の申し込みが3月末で10万件を超えた。関電より最大約5%安い料金設定で、16年度に20万件の契約を目標とする。他にも、石油元売り系や通信系などの新電力が営業攻勢を掛ける。
りそな総合研究所の荒木秀之主席研究員は「17年4月には消費税増税も予定され、家庭で節約志向が高まっている。低料金を求めて契約を見直す動さが今後も続くだろう」と指摘する。