伊方原発:30キロ圏5市町説明会 再稼働求める声出ず 事故の懸念相次ぐ 国と四電、安全対策・必要性強調 /愛媛
毎日新聞 2015年08月21日 地方版
http://mainichi.jp/area/ehime/news/20150821ddlk38040564000c.html
伊方原発3号機の新規制基準適合を受け、原発30キロ圏の宇和島市と西予市は19日、大洲市と伊予市と内子町は20日、それぞれ合同で住民代表を 対象とした説明会を開いた。資源エネルギー庁や四国電力の担当者らは3号機の安全対策と再稼働の必要性を強調したが、2会場で計409人の出席者からは事 故への懸念が相次ぎ、早期再稼働を求める声は出なかった。【渕脇直樹、橘建吾】
5市町長は先月16日、中村時広知事に説明会開催を求めており、これに国などが応じたもの。20キロ圏の八幡浜市は今月5、6日に説明会を終えて おり、これで30キロ圏内での説明会はすべて終了した。八幡浜、西予、宇和島の3市は説明会参加者にアンケートを実施し、他の市町長も議会などの意見を参 考に、再稼働への見解を知事に伝える。
2日間の説明会ではいずれも、原子力規制庁が適合審査の結果▽資源エネルギー庁が原発再稼働を進める理由▽内閣府と県が住民避難など原子力防災対策▽四電が安全対策の現状--を示した。
しかし質疑では、安全性への疑問が相次いだ。大洲市議の一人は「説明したのはすべて想定内の事故対策。福島第1原発事故で想定外が起きることを学 んだはずだ」と批判。大洲市長浜自治会長の東信利さん(65)は「再稼働はやむをえない」と前置きしつつ「100%絶対安全と言われれば納得できるが、非 常に不安」と訴えた。西予市野村町野村の農家、松井勝成さん(84)は「ミカンや魚、牛に放射性物質が降り注いだら生活できなくなる。廃炉にしてクリーン エネルギーに転換すべきだ」と主張した。
原子力災害対策の重点が30キロ圏内に置かれていることへの疑問も多数上がった。宇和島市連合自治会副会長の河野広行さん(65)は「(説明会対 象外の)愛南町や高知県宿毛市には圏内地域より早く放射性物質が飛来する。圏外対策がおろそかで、なぜ再稼働を急ぐのか」と再考を求めた。伊予市議の一人 は「50キロ圏も含めるべきだ」と指摘した。終了後、石橋寛久・宇和島市長は記者団に「時間が足りず、消化不良。理解できない参加者も多かったのではない か」と話した。
説明会は共に、市町側が出席者を指名したが、対象者514人のうち112人が欠席した。伊予市の担当者は「仕事が重なって出席できなかったのではないか」と話した。