原発を再稼動させたいのなら、この問題は避けて通れない。
廃棄先がないなかで、現在保存している伊方原発の貯蔵プールは稼動させるならあと3年程で許容量を超えるそうだ。
「処理できない」この未来への負債・危険を残すだけでなく、今後増やしていくことに道理があるでしょうか。
核のごみ処分 学術会議提言重く受け止めよ
愛媛新聞社説 2015年02月19日(木)
http://www.ehime-np.co.jp/…/shasetsu/ren017201502193406.html
国内の科学者を代表する組織である日本学術会議が、原発再稼働の条件として、「核のごみ」の対策明確化を政府と電力会社に求める政策提言案をまとめた。2012年に政策の抜本見直しを提言したが進展はなく、あらためて改善を促す異例の対応である。
政府は東京電力福島第1原発事故を受けてなお、原発から出る核のごみ問題に正面から向き合ってこなかった。いまも、ごみの行き場も処分方法も決めないまま、原発再稼働に向けた手続きを急いでいる。「将来世代に対して無責任」(学術会議)との指摘はもっともだ。政府はその事実を省み、提言を重く受け止めなければならない。
提言案は、国民の合意ができるまで地上で原則50年暫定保管し、保管開始から30年をめどに処分地を決定することを政府に訴え、国民の議論の場設置を求めた。
国民との対話や信頼を欠いたまま、政府が処分地の「科学的有望地」を指定し、いくら説得しても、反発が起きるだけで進展は期待できまい。政府は国民に核のごみに関する情報を積極的に示し、一刻も早く議論を高める努力をしなければならない。
また、提言案は電力会社の責任も明確に打ち出した。各社が原発立地地域以外の場所に保管場所を確保するよう求めている。国の政策や科学技術の進歩頼みで、結果的に自らが出したごみをため込み続けている現実は重い。これ以上の放置は許されまい。
その一方で、経済産業省は最終処分に関する政府の基本方針の7年ぶりの改定案を公表した。将来の政策変更や技術開発に応じて、いったん地下深く埋めていても回収できるようにするという。
自治体が処分地を受け入れやすくしようとの狙いだが、そう簡単にはいくまい。放射性レベルが十分下がるのに数万年もかかる廃棄物を、安易に取り出せるとは思えない。政府はその場を繕うのでなく本腰を入れて明確な計画を練り、国民に示すべきだ。
核のごみは、原発導入当初から解決しておかねばならなかった根本的問題だ。使用済み燃料を再処理して加工し、燃料として再利用する国策の核燃料サイクルは事実上破綻した。その結果、約1万7千トンの使用済み燃料が全国の原発などに積み上がっている。
老朽化した原発の廃炉を今後進めるに当たっても、放射性廃棄物は出る。膨らむばかりのごみから目をそむけたまま、拙速に再稼働を急ぐことは断じて容認できない。
これ以上の問題先送りは後世に多大な禍根を残す。九州電力川内原発や関西電力高浜原発の再稼働への手続きを進める前に、政府は抜本的な対策に取り組まなければならない。