原発の廃炉費用負担 電気料金と切り離して議論を | 伊方原発とめまっしょい☆若者連合のブログ

伊方原発とめまっしょい☆若者連合のブログ

私たちは、伊方原発の再稼働に反対することを一致点とする若者のネットワークです。私たちのよびかける行動には、若者に限らずどなたでも参加できます。

原発の廃炉費用負担 電気料金と切り離して議論を
愛媛新聞社説2015年01月21日(水)
http://www.ehime-np.co.jp/…/shasetsu/ren017201501212811.html

 原発の廃炉費用について、経済産業省の有識者会議は2016年の電力小売り自由化後も、電気料金に転嫁して全ての利用者に負担を求めるとの報告書案をまとめた。大手電力会社から分離する送配電会社が、送電網利用料に上乗せして徴収するという。

 原発に頼らない新規事業者から電力を購入する場合も負担を強いられることになり、容認できない。小売り自由化は、利用者に事業者選択の自由を保障することでもある。趣旨に逆行する原発事業者の優遇策を強く危惧する。

 有識者会議では、原発からこれまで享受したメリットへの指摘があった。われわれ世代が結果として原発に頼ったことは否定しない。一方で、廃炉や使用済み核燃料処分は国策とも深く関わる。電気料金とは切り離して論じるべきだと指摘しておきたい。

 どんな形にせよ国民に負担を求めるのであれば、廃炉のスケジュール明示が欠かせない。国と大手電力は、原発に依存しない社会への移行を速やかに表明しなければなるまい。いつ廃炉にするのかを曖昧にしたままで痛みだけを押しつけることなど、あってはならないのだ。

 これまでも廃炉費用は電気料金の原価に算入され、利用者から徴収されてきた。現行の総括原価方式は自由化に伴い撤廃される。料金競争で加算しづらくなる大手電力に配慮し、徴収する仕組みの「温存」を目指したのは想像に難くない。この際、これまでに積み上げた額や想定される不足額、その理由などの詳細も開示してもらいたい。

 そもそも、国や大手電力は原発の発電コストの安さを強調してきた。廃炉費用はコストの一部として想定済みのはずだ。当初見込んだ費用が上振れして足らなくなるというのなら、国民に痛みを強いる前に原発の電気は高くつくのだと認めなければなるまい。

 送電網利用料に廃炉費用を含めることは電力改革の観点からも疑問がある。発送電分離は、当面は大手電力が持ち株会社などで送配電会社を傘下に置く形になりそうだが、新規事業者が送電網利用で不利益を被らないためには影響力の排除徹底が必要だ。送配電会社が大手電力のグループ会社であることを前提とする方策には、異議を唱えたい。

 優遇策はまだある。廃炉を決めた原発のタービンなど、収益を生まない設備を資産として減価償却できるよう、会計ルールを改める。老朽原発の廃炉を促す姿勢をアピールし、原発再稼働への批判をかわす政府の狙いは明らかだ。

 大手電力への支援がなし崩し的に広がる懸念が募る。健全な競争による料金の低下とサービス向上を目的とする電力自由化を、画餅に終わらせてはならない。