今、わが家でタバコを吸う人はいませんが、
以前は夫もトメ子も吸っていたので、わが家には使い捨てのライターがたくさんあります。
使うのはお香を焚くときぐらいなので、なかなかなくならないのですが、
先日やっと1つ使い切ったので、別のライターを出そうとして、
懐かしい、昔トメ子が吸っていたタバコと同じデザインのライターを見つけました。
トメ子にタバコをやめさせようとしていた頃に私が没収したものです。
このライターを見て、当時のことを思い出したので、
久しぶりにトメ子の禁煙のお話です。
当時はまだ、まだらボケ状態で自分でお金も管理していたし、
家のカギも持っていて自由に外出していたトメ子は、
夫と私の留守中にタバコを買ってきてはコソコソと吸っていて、
その都度、注意し没収していたのですが、ある日こんなことがありました。
私が仕事から帰ると、玄関のカギが開いていて、中に入ると、トメ子の部屋のドアも開いていました。
これは、近所のコンビニに行っている証拠です。
「まさかまたタバコを買いにいったのでは」と思いながら何気なくトメ子の部屋を覗くと、
テーブルの上にタバコが2箱置いてあり、片方は未開封、片方は封を開けて1本だけ出してありました。
どうやらライターを買いに行ったようです。
普通なら、そろそろ私が帰宅する時間だと分かりそうなものなのに、
既にボケ始めていたトメ子には、そんなことも分からなかったのでしょう。
私は黙ってタバコを没収すると、玄関のカギもトメ子の部屋のドアもそのままにし、
リビングで息を潜めて様子を見ていました
すると、帰宅したトメ子は部屋に入り、1分もしないうちにまた出かけていきました
トメ子の部屋を覗くと、今度はテーブルの上に100円ライターが1つ置いてありました。
ボケ始めていたトメ子は、玄関に私の靴があるのにも気づかず、
タバコが無くなっているのではなく、自分がタバコを買ってくるのを忘れたと思って買いに行ったのです
そこで、今度はライターを没収し、同じようにリビングでこっそりトメ子の帰宅を待ち、
タバコを買って帰って来たトメ子が部屋に戻ると、そっと覗きに行きました。
するとトメ子は、さっきと同じようにタバコを開けて1本取り出し口にくわえ、
それからライターを探し始めました。
タバコを口にくわえたままキョロキョロして、テーブルの上の物をどかしてみたりしながら、
必死にライターを探していますが、見つかるはずがありません
するとトメ子はまたライターを買いに行こうと思ったらしく、
くわえていたタバコをテーブルの上に置き、小銭入れを持って部屋から出ようとし、
そこで初めて私がいることに気がついてビックリしていました。
「どこに行くんですか? 」
「え?ちょっと・・・・別にいいじゃない」
「ライターを買いに行こうと思ってるんじゃないですか? 」
「違うわよ」
と言ったところで、テーブルの上に置いてあるタバコの存在を思い出したらしく、
一瞬、テーブルの方を振り返り、急に黙りこくるトメ子。
私が、怒るよりも残念そうに、
「タバコをやめる気がないんですね・・・」
と言うと、
「そんなことないけど・・・・・」
と言ったきり、あとの言葉が出てこないトメ子。
「じゃあ、そのタバコ私にください」
と言うと、素直に差し出してきました。
もしこのとき止めずにライターを買いに行かせ黙ってタバコを没収していたら、
トメ子はまたタバコを買いに行き、何度も何度も同じことを繰り返したのでしょうか?
ちょっと試してみたい気もしたのですが、もったいないので止めました
こんなことが数ヶ月続いたのですが、そのうちに認知症が進み、
次第にタバコの存在すら忘れてしまったかのように、
ある時期からパタリとタバコを買うことがなくなりました。
いつも、応援クリックありがとうございます