苦しいほどに。
この前の話をしよう。
左に曲がってからの話。
そこはワンダーランドだった。
未知の世界。
人が話しかけたので驚いた。
偶然、知人の知人の方だった。
初対面。
身の上話から始まる。
しばし話す。
ワンダーランドの中で。
流れる曲を聴きながら。
本を読みたかったのだが、知人はそうはさせてはくれない。
文庫本を読みたいのだ。
スマホはメール着信音を鳴らしている。
食事を終え、一人になる。
ワンダーランドを見ることもなく迎えの車に乗り込む。
車椅子を乗せて走る走る走る。
流れる景色。
眠りに誘う。
交差点を右折。
そう同じ道を逆に走る。
雨は大丈夫なんだろうか。
ポタポタポタと窓を打つ音。
シトシトシトと雨は涙のように落ちる。