第1回目のblogはRubiiというバンドについて。

 

あれは98年の秋頃だったか。当時の私は、学校の宿題や課題に取りかかるのが遅く、特に美術や家庭科といった実技4科目は特にその傾向があった。

今回も例によって、美術の課題が明日〆切りというのにまったく終わっていなかった。やむを得ず、家に持ち帰り、明日までに仕上げることにした。夜まで少し頑張れば終わるだろうと考えていたが甘かった。時計が23時を回っても終わらず、このまま徹夜になる勢いだった。

当時私は「ザ・ランキング」というラジオ番組を聞くのが習慣になっており、この日も気分転換を兼ねてラジオを聞きながら作業をしていた。課題が一向に終わらぬまま23時半になり番組が終わった。いつもならここで就寝となるのだが、この日はそうはいかない。せっかくなので、ラジオを付けたまま作業を続行した。「そういや、ザ・ランキングの後の番組って聞いたことがないな」と思っていると、「Rubii小林加奈子のAnybody home?」という番組が始まった。Rubiiも小林加奈子も聞いたことがない名前だったが、番組自体はなかなか面白かった。確かその日はV系バンドに関する話をしていた気がする。パーソナリティの小林加奈子さんという人は、例えラジオでも好き嫌いははっきり言う人なんだなという印象を持った。そして番組中にRubiiの曲がOAされたのだが、「ダイヤのココロ」という曲がかなり強烈だった。ギラギラした感じのサウンドだが、キャッチーなメロディ。そしてかなり強気な歌詞が爽快感があった。番組は30分で終わった。私はそのまま作業を続け、翌朝には課題はなんとか仕上がった。

それ以降も毎週木曜は、この番組を聞くのが習慣になった。番組の内容は今はほとんど覚えていないが、「ダイヤのココロ」がOAされる度に気分が高まったのを覚えている。3月末になると番組は終了したが、特にRubiiのその後については気にかけていなかった。

 

それから1年以上の月日が経ち受験の年になった。Ruiiのことはほぼ忘れていたが、「ダイヤのココロ」は心のどこかに残っていた。憂鬱な気持ちで塾までの道を歩いていた時も、「ダイヤのココロ」の歌詞を口ずさみ気持ちを紛らわそうとしていたのを覚えている。その後受験も終わり、新たな生活が始まったが、この頃はインターネットが既に普及していた。当時まだ存在していた「Yahooミュージック」というサイトでRubiiの情報を見てみると、リリースは「ダイヤのココロ」で止まっていた。この時、Rubiiはもう活動していないんだなと悟った。

 

さらに10年の時が経った。私は既に社会人デビューをしていたのだがわけあって退職し、新たな仕事を探しつつ、仕事のスキルアップを目的とした学校に通っていた。世の中には「Wikipedia」という非常に便利な辞典サイトが出ていた。このWikipediaは比較的マニアックな情報も載っている。PCの授業が初心者向けで少し暇になったので、ついWikiでRubiiの情報を探してみると、なんとあった(さすがWiki)。内容を見てみるとやはり99年で解散していた。しかし解散後にボーカルの小林加奈子さんは、"カナコ"名義でspeenaやsunny-side upのメンバーとして活動していたことがわかった。正直おどろいた。speenaもsunny-side upも名前だけは知っていたからだ。特にsunny-sideに関しては、2005年にshelaさんがラジオでゲスト出演していた時に「新ユニットを結成した」という話があったのだが、その時は「shelaさんが他のシンガーと組むなんて面白いな」ぐらいにしか思わず、相手がカナコさんだなんて考えもしなかった。

他のメンバーはというと、キーボードの鈴木大輔さんは後のday after tomorrowやgirl next doorのメンバー。ギターの妻夫木晋也さんは妻夫木聡さんの兄。Rubiiは今まで「知る人ぞ知るバンド」という印象を持っていたが、考えてみればかなりのスーパーユニットだと思った。

それ以上の情報はなかったが、これまでのRubiiの情報量が少なかったので、これでも十分すぎる内容だった。

 

それからさらにおよそ10年の時が経ち、ちょうど昨年の秋のこと。ある日、またふとRubiiのことを思い出した。その日はちょうど休日出勤だったが、ちょうど待ち時間ができたので久々にWikiでRubiiの情報を見てみた。内容は最後にWikiを見た時と変わらなかった。それでもカナコさんは今も何かしらの活動を続けているのではないかという希望を抱きながらさらに情報を探してみたが特に情報はなし。もうこれ以上Rubiiの情報は得られないのかと諦めかけていたその時、偶然カナコさんのSNSが見つかった。

昔ほど精力的に音楽活動をしているわけではなさそうだが、あのラジオの時のカナコさんのキャラクターはSNSの中でも健在だった。

この時、私は20年の時をかけてようやくRUbiiに再会できたような気持ちになった。

 

私はRubiiの作品といえば「ダイヤのココロ」しか知らないため、決して"Rubiiファン"を名乗ることはできないが、それでもRubiiは自分の中でずっと特別な存在だった気がする。

今後Rubiiの復活は難しいかもしれないが、この令和の時代にこそRubiiの作品が再びシーンに発掘されることを願っている。

 

P.S 下記はカナコさん自身がRubiiについて語っている貴重な記事です。

①Rubiiの結成秘話

②アルバム「Wonder Trip」解説(その1)

③アルバム「Wonder Trip」解説(その2)

④アルバム「Wonder Trip」解説(その3)

⑤Rubiiの全シングル解説