あたし、大切な人を傷付けてしまったんだ。





傷付けたくなかったけど、結果的に傷付けた。




じゃなくて、




傷付けたかった。


うっとうしかった。


もう要らないって思った。








彼がどれだけ優しい人かよくわかっていたはずなのに。






彼は、隣地元の飲み仲間。





中学、高校、同じ場所で青春してた仲間。







彼は歌が大好きで、歌がとても上手で、



カラオケ!ってなった時は、



いつも声をかけてくれて。






あたしも歌をやっていたし、歌が好きだし、



友達の間では“歌の上手い人”になっていて、


お前と行くカラオケが一番楽しい!って



いつも、誘ってくれた人。






よくデュエットもしたw




どちらかが入れた曲をもう一方がマイクジャック。みたいな。






あたしも彼氏と長かったし、



こいつらは地元だしって。


甘えもあって、よく行ってた。





そうこうしてるうちにね、



彼とは別れることになって。






あたしを気遣って、飲みに誘ってくれたり、


ご飯連れてってくれたり、



カラオケ行ってくれたり、



ホワイトデーにぬいぐるみくれたりw








そしてある日、



結婚を前提に付き合って欲しい。




って。







まだ無理だよ。って何度も断った。





何度断っても、全然挫けない。




彼はね、お父さんと二人暮らしで、



母親を亡くしてるのね。






彼のメンタルも少し弱ってて。





だから、傷付けたくなかったといえば、傷付けたくなかった。







彼が誰より弱くて、誰より必死だってわかってたのに。




そんな彼が、必死にあたしを守ろうとしてくれてたのに。







あたし、最低だったな。






そんな彼の小さなささくれの痛み、汲んであげられなかった。





男友達と飲みに行った時、



帰りが遅くなってしまって、



浮気を疑われ、



彼に汚い言葉を吐かせてしまったんだ。







あたしが、彼をそうさせてしまったんだ。






でもね、その言葉がその時のあたしは、



飲みこめなかった。



許す、許さない、


傷付く、傷付いてない



そんなことじゃなくて、



飲みこめなかった。







多分、自分が本当に愛されてるんだろうか?って




彼は不安だったんだと思う。






あたしを試したんだと思う。






その試しをあたしは逆手にとった。







疑ってんの?疑うの?

あたしのこと、彼女のあたしのこと疑うの???



って。







疑われたって、あたしは浮気なんかしてないし、


人様に言えないようなことは何一つとしてなかった。



だから余計にも、

ちっせーやつだな。って思ってしまって。



冷静に考えればわかるのに。


彼のチョイスした言葉がどうも無性に受け入れられなかったんだ。



もうやめよう、終わりにしよう。

生理的に無理だわ。


って。




それから一年以上の時間がたった今、

とても冷静に反省するときがある。



そこまで言わなくてもよかったよな…


ってね。




多分、あたしに対してここまで親切にしてくれる人はそういない。



お前のこと、顔が可愛いとか思ってるわけじゃない。
むしろ、タイプじゃない。
でも、お前が大好きだ!
一生一緒に居たいと思うくらい好きだ!


って言ってくれた。




あたし、前の彼があまりにも長かったから、

関係性が安定してて

甘えることも

怒ることもできて

自分からリードすることも

相手がリードしてくれることも

全てが当たり前のように自然な動作だった。


だから、不安定な関係に馴染めなくて。





でもね、最近思うんだ。



あたしが理想としているものは、



絶対に存在しないって。




そこまで育てなきゃ作り上げることのできないものなんだって。










それを作り上げることのできる相手が存在するかしないかは別の話。






彼ほど、あたしを理解したいと思ってくれた人はいない。








彼がメンタル弱いのと一緒で、




あたしもその頃、メンタル弱ってたんだ。





互いにそういう病気(…病気とは言いたくないんだけどね)を持っていて。






だからこそ、とても気遣ってくれた。






あたしは人ゴミがだめなの。



電車とか、狭い空間も苦手で。




酷い時は、コンビニすら入れなかった。





電車も苦手だから、全然遠出もできなくて。





あたし、実はパニック障害だったの。





あえて過去形にするけど。





今は、もうある程度なら大丈夫だから。







彼はそれを知っていたから、




あたしがどこかへ行く時、いつも、迎えに行こうか?って。




でも、その優しささえ、



優しさとして受け取れなかった。






もうこの手にはないものばかりを信じてた。






あたしね、彼みたいな人を本気で好きになれたらいいなって思う。





人には絶対、誰にも言わずにいるものがあるから。




誰にも言えないんじゃなくて、



誰かに言いたいことを誰もが抱えてる。



多分、彼もあたしと同じで

守るものが出来れば強くなる。




彼とは今年の春から連絡をとっていなかったの。


それもあたしがきっかけで。



でも、今更、彼がどれだけあたしを想っていてくれたかがやっとわかって、

急に恋しくなって、会いたくなって。




それでね、連絡したの。




色々ごめんね、あたしも悪かった。
仲直り、できないかな?


と。




するとね、間髪なく返信があって。




どした?何かあったか?
仲直り?
お前はホント、相変わらずアホだな(笑)


って。



続いて



俺は全然大丈夫だよ!



って。




ずっと謝りたかった。

ホントはもっと早く、仲直りしたかった。




彼の変わらない優しさを感じて、



何度だって傷付けたはずのあたしを

丸ごと受け入れるかのように、

元気ないんだろ?大丈夫か?

って、


最近、電車はどうだ?

って、心配してくれて。



嬉しかった。




メールのやりとりに手が疲れて、

電話できる?って聞いたら


お前と話すと長電話になるからやだ(笑)

なんて返信きて。



とか何とか言いながら電話出てくれて。




どこまでもあたしを気遣ってくれる彼の口振りに、

彼の変わらない愛情を感じました。




あたしと彼の間には多分、

尊敬とかそういうのは存在しない。


ただ、互いを認め、互いを許し、

互いを受け入れるということだけ。



でも、それがこんなにも優しいことだって、あたしは忘れてた。



特別な愛情って、

もっとかっこのいいものだと思ってた。


こんなに地を這いつくばるような

土臭いものだってこと、

あたしは忘れてた。



これでいいんじゃないかって

綺麗じゃなくても

カッコ悪くても

自慢できる男じゃなくても

一緒にいて安心できる。

それが本当は素敵なことなんじゃないかと思うようになった。



たくさんの人を見て、

理想通りの人もいた。

何か惹き付けられるものを持った人もいた。

でも、こんなにあたしを大切にしてくれる人には出会っていない。




あたしの入れ物じゃなく

中身に目を向けてくれる人。



感謝しなきゃね!