例えば、被合併会社の目的に「海上運送業」とある場合に、特段海上運送業を営んでいない場合であっても
合併登記に際しては、認可を要するか否かについての書類を求められる。
合併を要するのであれば「認可書」、要しないのであれば「認可を要しない証明書」である。

合併に際しては許認可事業の有無の確認と、合併に際し許認可の要否を調査して、相応の書類を準備する必要がある。なお、目的に記載のある事業を営んでいない場合の当該事業を「目的上事業」と呼称するようで、登記官には目的上事業か否か判別しないため一律に認可書または認可を要しない旨の証明書が求められる。

ちなみに海上運送業に関する認可を要しない旨の証明書の発行は、近畿の場合は「近畿運輸局海事振興部」が所管となる。

 

 

参考として、海上運送法第18条を掲載する

 

(事業の譲渡及び譲受の認可等)

第十八条 一般旅客定期航路事業の譲渡及び譲受は、国土交通大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

2 一般旅客定期航路事業を経営する法人の合併及び分割は、国土交通大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。ただし、一般旅客定期航路事業を経営する法人が一般旅客定期航路事業を行わない法人を合併する場合又は分割により一般旅客定期航路事業を承継させない場合は、この限りでない。

3 第一項の規定により認可を受けて一般旅客定期航路事業を譲り受けた者又は前項の規定により認可を受けて一般旅客定期航路事業を経営する法人が合併若しくは分割をした場合における合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人若しくは分割により一般旅客定期航路事業を承継した法人は、第三条第一項の許可に基づく権利義務を承継する。

4 一般旅客定期航路事業者が死亡した場合において、相続人が被相続人の行つていた一般旅客定期航路事業を引き続き営もうとするときは、国土交通大臣の認可を受けなければならない。

5 相続人は、前項の規定により被相続人の死亡後六十日以内に認可の申請をした場合においては、その認可があつた旨又はその認可をしない旨の通知を受けるまでは、第三条第一項の規定にかかわらず一般旅客定期航路事業を営むことができる。